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Lethal Illusion / 220VOLT
火薬バカ一代 ★★★ (2018-03-05 23:03:36)
「ポストEUROPE」の有力候補バンドの一つだったスウェーデンの5人組が’97年に発表した5枚目のスタジオ・アルバム。4th『EYE TO EYE』(’88年)からかなり間隔が空いたため、てっきり再結成作だとばかり思っていたのですが、実際は『EYE~』発表後のセッションで作り溜められたものの、リリースの機会がないままお蔵入りしてしまっていた楽曲を、バンド解散後に取りまとめた未発表音源集だったという。
基本的な作風は、アメリカでのサクセスを目指してプロデューサーにマックス・ノーマンを起用、スッキリと洗練され垢抜けた前作と同一路線。…いや寧ろ過剰な装飾を排してシンプルにロックしている点では90年代らしいサウンドと言うべきか。陰気や、泣きの美旋律といった初期北欧メタル要素は殆ど見当たりませんが、それでも楽曲の質の高さ、わけてもメロディ・センスの良さはしっかりとキープされているのだから流石ですよ。
ゆったりとスケールの大きなテーマ・メロディが印象的な①、ミッド・テンポで哀愁を振り撒く④、ダイナミックに跳ねるロック・チューン⑤、流麗なGソロが華やかな彩りを加える⑥、穏やかな前半とテンポアップする後半のコントラストも鮮やかな⑧、ドラマティックなバラード⑫等、本作に収められた優れた楽曲の数々を耳すれば、バンドがその存在を未発表のままにしておくことを惜しんだ気持ちがよく分かります。あと個人的には、500枚限定でリリースされた220 VOLT幻のデビュー・シングル音源⑭⑮の収録が嬉しい。聴き比べれば未熟さは明らかなれど、この2曲目当てで本作を買ったことを思い出しましたよ。
未発表音源集と言えども、決して前4作に聴き劣りしない質の高さを誇る1枚です。

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