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Morbid Visions / SEPULTURA
火薬バカ一代 ★★ (2018-04-15 00:05:13)
SEPULTURAの記念すべき1stフル・アルバム(’86年発表)。ちなみに’91年リリースの国内盤は、OVERDOSEとのスプリット仕様で発売されたEP『BESTIAL DEVASTATION』(’85年)をボーナス・トラックとして追加収録してましたっけね。
劣悪なプロダクションの下で炸裂するのは、エコーに埋もれた咆哮Vo、音質が不明瞭なせいで「刻む」よりも「蠢く」といった趣きのGリフ、ひたすら暴走を繰り返すリズムとがアンサンブル崩壊寸前の所をギリギリに突っ走る、オブスキュアなスラッシュ・メタル。
たった2日間で突貫レコーディングとか、金がなかったんでチューニングが狂ってるとか、スネア・ドラムは破けたままレコーディングに挑んだとか、数々の武勇伝に相応しい地下室臭をプンプンに漂わす本作において、まず何よりも優先されているのは初期衝動の発散。制作当時全員がローティーンだったというメンバーに己の初期衝動の迸りを律する気はゼロであり、そのため演奏に関しちゃメチャ不安定。しかしながら、メンバーの身体能力のキレはこの時点で既に半端なく、中でもイゴールのドラムの迫力は(不安定さ込みで)群を抜いていて耳奪われます。彼の暴れん坊ドラムに引っ張られる形で遮二無二に突っ走る③④⑤⑥辺りは、初期SLAYER、あるいは独産スラッシュ三羽烏に通じるサタニック&ブラッキーな禍々しさと、バンドの磨けば光る曲作りのポテンシャルの高さとが同居した逸品ではないかと。「もっと良い音でセルフカヴァー希望」と表明したくなること必定です。
ちなみに本作、『タモリ倶楽部』においては④が革ジャン獲得、⑥が2017年空耳アワー大賞受賞と空耳の宝庫としても知られているので、そういう意味でもお薦め…か?

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