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Cloaks of Oblivion / ERUPTION
火薬バカ一代 ★★★ (2018-04-16 23:01:51)
中央ヨーロッパに位置するスロヴェニア(小学校で習った当時、あの一帯はユーゴスラビアと呼ばれていましたっけね)出身のHR/HMバンドとしては、初めて正式に日本デビューを飾ったと言われる、女性ベーシストを含む5人組が'17年に発表した3rdアルバム。
てっきりスラッシュ・メタル作品と思って購入に踏み切った本作でしたが、ここで実際に聴けるのは、モダンな感触も宿した音作りやアレンジの下、噛み付くような歌唱から朗々とした歌い上げまで柔軟にこなせる逸材Voの存在といい、ツインGが豊かに奏でるメロディといい、5~7分と尺が長めに取られている曲展開といい、どちらかと言えばパワー・メタル寄りの音楽性。アメリカン・パワー・メタルに、スラッシーなエッジと疾走感、それに如何にもヨーロピアンHM然とした翳りと憂いを湛えた旋律美、ドラマティックな曲展開を加味したサウンドは、失恋船長さんのご指摘の通りMETAL CHURCH、あるいはHEATHEN、近年だとSAVAGE MESSIAH等のバンドを彷彿とさせます。
叙情的な序曲①から疾走曲②へと繋げる欧州HMならではの様式美に満ちたOP構成や、デヴィッド・ウェインとカール・アルバートを足して2で割ったような声質のシンガーの歌唱力が映えるミッド・チューン③、ATLANTIC時代のVICIOUS RUMORSばりのスピード・ナンバー④、スラッシュ・メタル然とした攻撃性とパワー・メタルならではの豊かなメロディを併せ持って畳み込む本編屈指の名曲⑥、各メンバーの技量の粋が集められた大作⑨といった楽曲は、そうしたバンドの強みを端的に示しているのではないかと。
「メタル後進国でしょ?」等と舐めて掛かる輩に強烈なカウンターを食らわされる1枚。

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