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Crunch / IMPELLITTERI
失恋船長 ★★★ (2018-05-03 15:32:40)
もはや時代遅れと揶揄されるギターヒーロー然としたクリスの高速ギター、そしてメロディックかつアグレッシブなスピードメタル。そんな北米マーケットと逆行するようにクリス・インぺリテリが叩きつけてきたのは自身のスタイルを踏襲する正統派サウンドを披露。頭3曲のスピードナンバーで掴みはOK、特にキャッチーなメロディとスピード感、クリスのスリリングなギターが惜しげもなく披露された③でアルバムのクライマックスを迎えたといっても良いだろう。その余韻を殺さない④のイントロとクラシカルかつへヴィな④の流れは、何度聴いてもゾクゾクさせられますね、ロブもハイトーンだけじゃないパワフルな歌声で楽曲を完全に支配しています。この妖しげなミドルナンバーはアルバム構成上、非常に効いていますね。今作の流れを見事に作っていますよ。

どうしてもスタイルが限定される音楽性だけに、似たり寄ったりの作風が多いクリスだが、3年ぶりの作品というだけの事はあり、メロディ、高速ギターのキレと、練り上げてきた感もあり、前作にあったムリムリ感も、ここにはなくタイトなリズムとへヴィな音像の切れ味は近年にない才気に溢れており、デジャブ感を吹き飛ばす程の充実度を誇っている。究極の金太郎飴サウンドと揶揄される事もあるインぺリテリ。そんな周囲の雑音も封じ込める程の力技が今作にはねじ込まれていますね。
中盤以降も色気のある⑥、ロブのメロディックな歌唱スタイルを楽しめる新旧の魅力が楽しめる⑦、だからストレートなバラード系もストンと落ちていきます。日本盤には収録されなかったFreakshowあたりが、この辺りに差し込まれれば、視聴感も良くなったと思うのですが、後半に向けて、もう一曲くらいストレートなインぺリテリ高速ナンバーが聴きたいと思うファンも多かったでしょう。頭3曲の興奮が忘れられないファンなら尚更だと思うのですが、いかがでしょうか?
個人的にはへヴィでダークな色合いも混ぜつつも、自身のアイデンティティを損なわなかった後半に今作の魅力を感じます。歌メロも近年の作品より、充実していただけに余計にそう思いますね。

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