この曲を聴け! 

Atomic Generation / FM
火薬バカ一代 ★★★ (2018-05-12 02:20:34)
英国のベテラン・ロック・バンドFMが、キャリア30周年を祝う企画盤『INDISCREET 30』のリリースを挟んで'18年に発表した新作スタジオ・アルバム。
FMと言えば、挨拶代わりのOPナンバー①が物語る通り、スティーヴ・オーヴァーランド(Vo)の絶品の歌唱力を活かしたブルージーな味わい漂わすメロディアスHRサウンドが持ち味。当然本作でもそうした渋めのテイストは保持されているわけですが、前作でデビュー作のリメイクにチャレンジしたことが良い刺激になったのか、今回は初期作を思わせるキャッチーなハードポップ風味も随所に編み込む等、FMがこれまで歩んできたキャリア(音楽的変遷)を肯定的に総括する内容に仕上がっています。
哀愁のメロディに、控えめながら的確に仕事をこなすGと美しいハーモニーが華を添える②、爽やかな微風の如く心地良い⑤、哀メロがキャッチーに弾む本編のハイライト・ナンバー⑧、エモーショナルな歌声に聴き惚れずにはいられない感動的なバラード⑨(鍵盤アレンジも効果的)、ヘヴィな曲調とオルガン・サウンドのコントラストがクラシック・ロックの風格漂わす⑩といった、ベテラン・バンドならではの円熟味と、曲作りにおける職人技が冴え渡る名曲の数々を目の当たりにすれば、スティーヴが「FM史上最も成熟した完成度の作品。つまり今作自体こそがFMなんだよ」と胸を張るのにも大いに納得ですよ。
FM=地味めなブルーズ・ロック・バンドとのイメージを持っている向きには是非お薦めする1枚(先入観を覆されますので)。BURRN!!誌で広瀬編集長が90点を献上しているのを見かけた時は眉に唾付けたものですが、今なら同意しないわけにゃいきませんて。

→同意