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Conquest / URIAH HEEP
失恋船長 ★★★ (2018-05-14 14:40:27)
稀代の名シンガー、ジョン・ロートンをアルバムを作り上げるもロートンがバンドに嫌気をさしたのか脱退。そのせいでアルバムはお蔵入りの憂き目にある事に、そんな内部分裂はドラムのリー・カースレイクにも伝染、存在感のあるドラムプレイでバンドを支えていたが、楽曲制作にも影を落とす重大な脱退劇だった。
二人の主要メンバーを失う中で新たに手にした仲間は、ルックスのよいジョン・スローマンと(ロートンはクラウス・マイネみたいにハゲあがってたもんぁ。今は金髪のヅラかぶってるけどね)クリス・スレイドが加入。
新たなるロックの幕開けを迎える80年代に向け、バンドが勝負を掛けたのが、スローマンのエモーショナルヴォイスを生かした前作の流れを組むスタイルで勝負。

良くスローマンのせいで台無しになったと言われる今作なのだが、やはり商業性も高めたいミック・ボックスと、自身のプレイを前に出したい、ヘンズレイとの軋轢もあったのか、今作におけるケン・ヘンズレイの影の薄さが全てに影響を与えたと思う。
彼が協力した形で、この方向性に進んだのか、それともやる気をなくしていたのかは分からないが、その辺りがHEEPらしくないと言われる最大の要因だろう。
その中でも、ジョン・スローマンは線は細いが朗々と歌いあげ、前任者達とは違う解釈のヴォーカルスタイルで新しい風を吹き込んでいます。
トレバー・ボルダーのベースが耳を惹く②、ジョン・ロートンの声が聞こえてきそうな味わい深いポップな③、ミックのエモーショナルなギターがカッコいいバラードの④、仕掛けの多い大作ナンバー⑦、これぞスローマンな歌声が味わえる⑧と、やはり、その辺のバンドでは出せない空気はHEEPならでは、タイプは違えど説得力はありますよね。

のちにお蔵入りしたロートン時代のアルバムがブートで出回り、今作から③④はロートンヴァージョンもあり両者の違いを味わえるのもチョイとした話題でした。そしてオフィシャルな形で未発表曲を収録した4枚組のベスト作『A TIME OF REVELATION』で確認する事も可能ですのでマニアは要チェックでしょう。

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