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Different World / URIAH HEEP
失恋船長 ★★★ (2018-05-19 16:25:44)
バーニー・ショウ時代のGRAND PRIXは一番アメリカンな音に聴こえるが本質は一番ブリティシュな作りこみと言えるサウンドだった。感触はアメリカンでも味付けは完全に英国そのもの、そんな雰囲気をフィル・ランゾンとバーニーはHEEPに持ち込み、そのあり方を前作で提示していました。産業ロックと揶揄されるスタイルに接近、ピーター・ゴルビー時代とも違うソフトなサウンドへとシフトチェンジしたものだった。
そんな前作の軽めに作りを反省したのか、それとも90年代に突入した影響も出たのか、ミック・ボックスのいぶし銀のワウギターを聴かせてくれる①から、前作との違いを感じる事が出来た。ある意味、オーセンティックなスタイルになっただけとも言える地味目のサウンドは前作の方が、感触は良かったかも知れない。それでも、メンバー間の結束も強まったようなまとまりが音に表れており、ベテランならではの味がある。
やり過ぎた前作の反動とも言えるハードサウンド、カヴァー曲が多すぎただけだとも言える散漫さを解消した事が、今作を一本筋の通った作品へと押し上げているのも見逃せませんね。こんなものHEEPじゃないぞと、言われると反論のしようもありませんが、歴史を辿り、順を追って聴くと納得出来る作風である。そして実はある意味、前作よりも産業ロック的な匂いがしているのも面白いのだ。

それに彼は、これだけ長い歴史を持っているのに、過去の偉業をコスリ倒すような安易な手法に着手していないのも凄い事だっと思っている。路線変更しようななんだろうが、昔の名前で出ていますが一番キツイのでね。90年代に入り新たなるバンド活動への道を切り開いた一枚であろう。

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