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BOND OF UNION / ALLIANCE
火薬バカ一代 ★★★ (2018-06-19 23:37:30)
NIGHT RANGERのアラン“フィッツ”ジェラルド(Key)に、結成の音頭を取ったゲイリー・ピール(G)、BOSTON他の仕事で知られるデイヴィッド・ローザー(Ds)という元SAMMY HAGAR BAND同窓生3人に、プログレ界隈では腕利きプロデューサーとして腕を振るうシンガー、ロバート・ベリー(Vo)が合流する形で結成されたバンドが、'96年に発表した1stアルバム。(日本盤はゼロ・コーポレーションから発売)
リリース当時は、どうせグランジ/オルタナティブ・ロックの台頭で暇になったベテラン・ミュージシャンが、日本市場で小銭を稼ごうとちゃちゃっと集まって仕上げた即席プロジェクト感漂うAOR/産業ロック作品でしょ?と、偏見丸出しでスルーしてしまったのですが、これが大間違い。ロバートの熱い歌いっぷりや、クラシック・ロックの風格漂わすアランのヴィンテージなオルガン捌きを始め、タイト且つソリッドにまとまった演奏は気持ち良くロックしてくれている上に、バンドとしての一体感にも溢れています。
何よりAOR/産業ロックだけに留まらず、メンバー各自の豊富なキャリアを物語るかのように、様々なジャンルの音楽要素をバランス良く配合した収録曲の数々が聴き応え十分。特に重厚にしてドラマティックなバラード⑤、ロバートのソウルフルな歌唱と楽器陣の適格なバックアップに酔いしれる⑧、小気味よく走り抜ける哀愁のHRチューン⑨、攻めのKeyプレイが映えるハード・ロッキンな⑪といった楽曲は、このバンドの醍醐味が詰め込まれた逸品ではないでしょうか。
充実の内容に、侮り倒していた己の不明を恥じ入るばかりのアメリカンHRの力作です。

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