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Jerusalem / JERUSALEM
火薬バカ一代 ★★★ (2018-07-01 00:19:39)
結成時期やメンバーの動向等、バイオに未だ空欄が目立つ謎多き英国の5人組が'72年に残した唯一のフル・アルバムで、00年代に入ってCD化されるまで長らく入手困難な状態が続いたことから「幻の名盤」扱いされていた1枚。(現在は紙ジャケ国内盤が容易に入手可能)
ブルーズやプログレ臭の薄い、直線的且つスピーディに押して来る、同時代のHR作品と比較しても頭抜けてアグレッシブなサウンドから、NWOBHMを引き合いに出して語られる機会が多いという話も納得の本作。流石に現代の感覚からすると音作りは素朴で隙間も目立ちますが、楽曲が放つインパクトは今もって全く色褪せてはいません。
腕の立つ面子が余裕綽々で高度な演奏バトルを繰り広げるのではなく、20歳そこそこの無名の野郎共が、演奏は多少荒っぽくとも爪先立ちでHRの限界を押し広げようとするかの如く突っ走る様は、まさに元祖NWOBHM。1曲だけ飛び抜けてハードってのとは異なり、疾走感に溢れたGに耳奪われるOPナンバー①、“殺人者の悲歌”なる邦題に相応しいオカルト・ロック的オドロオドロしさと、Voが歌う軽快なメロディの捻じくれた組み合わせが印象的な④、“21世紀の精神異常者”を思わすへヴィネスを湛えた⑦、エキゾチックな風情も薫るミステリアスな⑧等、ほぼ全編に亘ってハードネスが維持されている点もNWOBHM的か?と。あとDEEP PURPLEの一員として、HRを新たなステージへと押し進める名盤『IN ROCK』誕生に貢献し、イケイケだった頃のイアン・ギランに見出され、彼のプロデュースを受けたことも本作の先鋭的な作風に少なからず影響があったのではないでしょうか。
バンドがこれ1枚で終わってしまったことが残念で仕方なくなる1枚ですよ。(…と思ったら何と再結成して'09年に2ndを発表していたと知ってびっくり)

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