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One Night Stand / CASANOVA
火薬バカ一代 ★★★ (2018-07-22 23:51:58)
メロディック・パワー・メタル勢が一大勢力を形成していた90年代のドイツHR/HMシーンにおいて、アメリカナイズされたHRサウンドを武器にするバンドとして、FAIR WARNING、PINK CREAM 69と並んで気を吐いたCASANOVA、’92年発表の2ndアルバム。確か自分が初めて買った彼らの作品はコレでしたよ。
パワフルな疾走ナンバー①、高いヒット・ポテンシャルを感じさせるキャッチーな②、思わず一緒に歌いたくなるライブ映えしそうな③という、CASANOVAというバンドの持ち味が凝縮された開巻早々の流れが物語る通り、アコースティック・ギターと開放的なコーラス・ワークを有用して、ドライでブライトな雰囲気を醸成するサウンドは、メンバーの垢抜けたルックス同様にアメリカンな雰囲気が色濃く漂ってきます。
但し、マイケル・ヴォス(元MADMAX)の灼熱Voはメタリックなエッジを宿していますし、何よりキャッチーなだけでなく、要所で発揮されるメロディ・センスからは、CASANOVAの隠しきれない欧州出身バンドとしてのアイデンティティーを聴き取ることが出来てほっこりさせられますよ。特に涼しげな哀愁を纏った⑨、シャープに走り抜ける⑩、マイケルの熱唱が映える憂いを帯びた⑪という秀曲が連続する終盤は聴き応え十分。
かように冒頭3曲の「掴み」と、本編終盤の畳み掛けのテンションが高過ぎるせいか、ミッド・テンポ~バラード系の楽曲が連続する中盤の展開が少々弱く感じられる気がしなくもありませんが、まぁ単に好みの問題かと。個々の楽曲の完成度はしっかりしていますし。
うだるような暑さにグロッキー気味な我が身に、沸々とやる気を湧き上がらせてくれる1枚。酷暑のお供にいかがでしょうか。

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