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Zero / ZERO
火薬バカ一代 ★★ (2018-09-04 00:21:43)
ZEROがZEROからデビュー…と書くと何が何やらですが、要はテクニカルなギターとハモンド・オルガンをフィーチュアした様式美HMサウンドから、「スイスのDEEP PURPLE」と呼ばれた(俺の中で)なSTORMBRINGERを率いていたギタリスト、アンジー・スキリロが新たに立ち上げたバンドZEROが、’94年に日本ではZEROコーポレーションを通じて発表した1stアルバムが本作であると。
帯に踊る《究極のZ-ロック》なる大仰な惹句に高まった期待は、リズミックに立ち上がるOPナンバー①、リッキー・ネルソンみたいな②、グルーヴィな③という、様式美HM色皆無の乾いたノリが支配的な冒頭3曲を前に徐々に尻すぼみ。「買って損こいた…」とガックリきたことを思い出しますが、ここで停止ボタンに手を伸ばすのは早計というもの。実は4曲目以降は、重厚且つドラマティックに盛り上がる④⑦、堂々たるメジャー感を身に纏った⑤⑧、スペーシーな感触も宿して弾む⑥、イケイケな疾走ナンバー⑨、しっとり抒情的に聴かせる⑩⑫…と、アメリカなノリから、STORMBRINGERファンの留飲を下げる様式美HMスタイルに至るまで、バラエティに富んだ楽曲が顔を揃えており、聴き終えての感想は決して後ろ向きなものにはなりません。冒頭3曲にしても個々のクオリティは十分ですし、《旋律美を母に、天賦の才を父に》《抒情と透明の深艶を奏でるギタリスト》等々、いかにもZEROコーポレーション謹製な美辞麗句に援護射撃されたスキリロのテクニカルなGプレイ、⑪を始め、全編に亘って絶好調を維持。
自分なりの曲順を考案して楽しめば、より評価が上がる1枚ではないかと。

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