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Hail to England / MANOWAR
火薬バカ一代 ★★★ (2007-06-05 22:07:00)
前作『INTO GLORY RIDE』が、NWOBHMに沸くイギリスで高く評価された事に感謝を捧げてこのアルバム・タイトルになった・・・という実にMANOWARらしいエピソードを持つ、'84年発表の3rdアルバム。
デビュー作『BATTLE HYMNS』のロックンロール路線から、ドラマ性重視のヘヴィ・メタル路線へと舵を切った『INTO~』は、重厚長大で劇的な楽曲がズラリと並んだ力作だったが、その反面、やや力み過ぎたのか、冗長な部分が無きにしも非ずだった。(飽くまでMANOWARにしてはの話で、有象無象のバンドに比べればそのクオリティの高さは驚異的)
その辺の反省点を踏まえて(?)製作された本作は、余分な贅肉が削ぎ落とされた楽曲はソリッドに研ぎ澄まされ、ランニング・タイムは何れも3~4分台と非常にタイト。それでいて大仰なドラマ性は減じるどころか、益々磨き上げられているのだから畏れ入る。
特に、雄々しく力強い①、ライブでは物騒な「DIE!DIE!」の合唱を誘うスラッシーな③、隠し味の女性コーラスが楽曲の持つ荘厳な雰囲気を引き立てる④、そして本編唯一の大作にして、これぞMANOWAR!たるドラマチックな名曲⑦といった楽曲の素晴しさは、本作の白眉。つーか、このアルバムに捨て曲はありません。
また、前2作の大きな弱点だった劣悪なサウンド・プロダクションが大幅に改善されているのもポイントで、未だ十分とまでは行かないまでも、これで漸くスケールの大きな楽曲の魅力が余すところなく伝わるようになった。目出度い。
僅か13日間でレコーディングされた代物とは俄かに信じ難い、初期の傑作の1つ。

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