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Terror and Submission / HOLY TERROR
失恋船長 ★★★ (2018-10-12 13:52:55)
スラッシュマニアの間では幻の名盤として誉れ高い栄誉を得ている幻のバンド。活動期間も短かったためレア感も増量されているのだが、そんな幻の作品が2017年にDVD付きの5枚組で復活していますので、往年のスラッシュムーブメントに興味のある方は是非ともチェックして欲しいですね。
メインソングライターを務めるカート・キルフェルトはアメリカ国籍なのに、思いのほかブリティッシュテイスト満載のへヴィメタルサウンドを信条としており、ハードコア顔負けの破壊力のある楽曲にスピーディーでスリリングなリードはメロディアスな響きで潤っている。アメリカ人なんで湿っては無いが濡れている独特の感性はあるが、このバンドはそういったUS勢の中でもかなり特殊な音を奏でている。
溢れるエネルギーがド派手さを誘発、終始ハイテンションなのに、叙情的とも言える芳醇なフレーズが随所にねじ込まれスラッシュメタルと呼ぶには幅は広い。そんな豊かな音楽性を支えるのはギターのみならず、地を這うへヴィグルーブのウネリ、良く動くベースとタイトに刻みあげるドラムは屋台骨をしっかりと支えている。そしてヤケクソ気味に歌い上げる破天荒ヴォイスが個性を際立たせている。下手なハズなのに何故かイケるのが不思議。そしてこのバンドをメジャーに押し上げられなかったのは歌の弱さだろう。
まるで終始押さえに悩まされ優勝戦線に絡み切れなかった今年の日ハムのようだ。
それにしてもギターはアイデア豊富なテクニシャンなんだよなぁ。フレーズの構築美も目を見張るものがある。怪しげな中近東風のメロディもあったりするし、走り出す曲の中に凝ったリフを重ね、劇的なツインリードは破壊力満点だが刹那な美しさが顔をのぞかせる瞬間がある。それに厳つさの中にしっかりとキャッチーさを感じさせるのも魅力の一つだろう。
ド派手な戦闘シーンのように、好戦的で感情を煽るメタルが聴きたい人にはもってこいのサウンドだろう。ただメジャー資本のカッチリとした音が好みの人には、チョイとキツイ。
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