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Vicious / HALESTORM
火薬バカ一代 ★★★ (2018-10-24 23:42:38)
並の野郎シンガーじゃ束でかかっても鼻息だけで吹き飛ばされそうな強靭な喉の持ち主、リジー・ヘイル(Vo)率いるバンドが、EP『REANIMATE 3.0』(’17年)でタッグを組んだニック・ラスクリネッツを再びプロデューサーに迎えて、’18年に発表した4thアルバム。
作風的には3rd『INTO THE WILD LIFE』の延長線上で、横ノリのグルーヴとモダンなアレンジに彩られたサウンドはいかにも今時のアメリカンHMといった趣き。但し、今回はヘヴィ・メタリックな疾走ナンバー③があったかと思えば、サビメロに被さるGの泣きのフレージングが印象的な④や、アコギ・バラード⑥、憂いを帯びたコーラスが秀逸なアルバム表題曲⑪のような楽曲があったりと、全体的にアグレッションやダイナミズム、及びメロディのフックに関しては大幅な強化が図られていて、聴き終えた後の満足感は『INTO~』を大きく上回ります。ついでにボートラで“TOKYO”なる楽曲が収録されている点も本作の評価ポイント。ぶっちゃけ出来栄えとしては並かな…と思わなくもありませんが、それはそれ。わざわざこんな楽曲を書いてくれるバンドの心意気に感謝感激ですよ。
そして何より、外へ向かう解放感より内側へ向かって煮詰まっていくような感覚が支配的な本編に風穴を開ける、リジー嬢の風通しのいい存在感がやはり今回も傑出しています。繊細な歌い上げからパワフルなスクリームまで、振れ幅の大きい、まるで感情の濁流でサーフィンしているかの如き彼女の激唱によって、例え地味めな楽曲であろうともその魅力が数倍にも引き上げられていることは疑う余地がないという。
ジャケットのインパクトにも引けを取らないクオリティを有する1枚かと。
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