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I Am I / NUCLEAR VALDEZ
火薬バカ一代 ★★★ (2018-12-19 10:06:04)
夏がく~れば思い出す~ “涙のサマー” 酷いジャケ~(外盤)♪…と、思わず“夏の思い出”の節付けて歌いたくなる、NUCLEAR VALDEZが’89年に発表した1stアルバム。
親に連れられキューバやドミニカ共和国からのアメリカへと渡ってきたメンバー達により結成されたバンドだけあって、本作に託されているのは彼らのルーツを伺わせるラテン・ロック。とはいえ、踊れや騒げやの陽気なノリではなく、例えばバンド結成の地であるマイアミが、風光明媚な観光都市と貧富の格差が生む犯罪都市としての二つの顔を持ち合わせているのと同様、NUCLEAR VALDEZが聴かせてくれるサウンドも、ラテン・ミュージックのもう一つの側面である「エモーション」と「哀愁」にフォーカスされています。何せ作中最も軽快なノリを伴う③のような楽曲ですら、彼らの手に掛かるとやるせない憂いを湛えて響くのですから相当なものですよ。
その極致が、日本でもシングル・カットされたOPナンバーの名曲①であり、歌もギターもメロディも訴えかけるように泣いている、まるで地中海に沈む夕陽を眺めながらポロリ零れる一滴の涙の如き(何だそりゃ)この珠玉の名曲を手始めに、イントロがまるで演歌な②、濃厚な哀愁が滲み出すバラード④、切ないGメロディが繰り出されるロック・チューン⑪等、本作は最初から最後までラテン風味の哀メロの大盤振る舞い。バンドは2nd『DREAM ANOTHER DREAM』において音楽性の拡散を試みますが、本作には⑤⑨のようなアップテンポの楽曲も収録。HR/HMリスナー的にも取っ付き易い仕上がりなのがありがたい。
哀メロ愛好家の方には、一家に一枚の常備をお薦めしておきたい名盤。
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