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Free with Pyg / PYG
失恋船長 ★★★ (2019-04-17 17:11:50)
この作品には、ちょいとした思い出がある。まだ子供だったころの自分には、ジュリーとショーケンがいたグループなんて完全に色モノ扱いでした。
GSと言えばメンバーが失神するオックスのアイ高野のエピソードや、集団ヒステリー状態の映像等が頭を過り、まともに相手にすることなど出来なかった。
そんな頭でっかちの思春期真っ只中の少年にとって、この作品など取るに足りないものだったのだが、もうチョイ大人になると、俄然収録曲に目がいく。DPの曲をやっている事にも驚くが悪魔を憐れむ唄など、誰がどう歌うのか、どんな演奏しているのか等など興味が尽きないのも事実。

そんな自分に、このコンサートに直接見に行った人の話が面白過ぎた。
まず、ショーケンとジュリーの共演というエキセントリックな組み合わせは、同時、賛否が物凄くあり、双方のファンが共存を認めなかったという事らしい。だから、ジュリーが唄えばショーケンファンが邪魔をして、ショーケンが唄えばジュリーファンが、それを許すまじと大騒ぎするというのだから、ライブ会場は一色触発状態のカオスだったとの事なのだ。

そして、そのカオスな臨場感を、このライブでは垣間見える事が出来るから、一度は聴いた方が良いと教えてもらった。当然アナログ盤なので、子供だった自分はまともに聴く事もなく、やりたい事と実力が追いつかないライブと切り捨て終了だった。ところが2007年にディスクユニオンから再発される事となる。さほど興味はなかったが、大人になった自分には、同聞こえるのか興味があった。もう一度手に取り聴きたいと言う願望に従い迷うことなく購入。

再度向き合った感想は、やはりカオスなライブ版であった。悲鳴なのかブーイングなのか、興奮の坩堝と化す観衆の熱気。息も絶え絶えに歌い切り二大スターのヴォーカリゼーション。これがライブなんだと言う生々しい、作り込みに引き寄せられるでしょうね。

最近のジュリーと言えば、ドタキャン騒動時の謝罪会見のお映像や、インチキくさいコメンテーターが語る、TOKIOやカサブランカダンディなどのヒット曲を歌う芸能人時代の話でジュリーを語るのだが、彼の本筋は、こういうところにあるのだろう、そう思うと日本の芸能界ってお金の為に、あそこまでイメージを変えさせるんだなぁと驚く。

オリジナル曲の少なさよりも、本当に自分達が有りたいのは、こういう曲なんだと叫んでいる有名海外アーティストのカヴァー集、ベタな選曲で終わっていないのも、彼らの本気度の高さと言えるだろう。

結局、このグループは短命の終わるのだが、当時の日本にこういう音楽を受け止められる受け皿がなかった事が悔やまれる一枚である。早すぎたスターの競演。その本気のステージには、手垢まみれの芸能人では出せないロックな魂を感じずにはいられません。

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