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TAKE THE MONEY AND RUN / MIDNIGHT BLUE
火薬バカ一代 ★★★ (2019-06-05 00:47:00)
ドゥギー・ホワイト(Vo)といえば、殆ど無名の存在からいきなりRAINBOWのフロントマンに抜擢されたシンデレラ・ボーイとして注目を集めたのも今は昔。すっかり便利屋シンガー稼業が板につき、たまに歌声を聴いても「また君か」とあんまり有難みを感じて貰えない昨今ですが、初めてMIDNIGHT BLUEでその卓越した歌唱力に触れた際には、「イギリスにはまだまだ凄いシンガーがいるんだなぁ」と感心させられたものですよ。
MIDNIGHT BLUEは、元TOBRUKのジェム・デイヴィス(Key)を中心に誕生したバンドで、後にブルース・ディッキンソンのSKUNKWORKSに参加するアレックス・ディクソン(G)なんかも在籍。’94年発表の唯一作である本作は、日本ではZEROコーポレーションから国内盤がリリースされ、特にOPを飾る名曲“SURRENDER”がメロディ愛好家から絶賛されました。彼らが本作で聴かせてくれるのは、その“SURRENDER”の哀メロっぷりが物語る通り、透明感を増幅するKeyとウェットなGをたっぷりとフィーチュアした、適度にポップ、適度に哀愁を帯びた煌びやかなメロディアスHRサウンド。
日本盤は全13曲収録で60分オーバーという長尺ゆえ、多少楽曲の質にバラつきは見られるものの、それでも溌剌とした曲調に高揚感を誘われる⑤、エモーショナルなドゥギーの熱唱と、精彩を欠いたSKUNKWORKSとはまるで別人なアレックスの泣きのGが冴え渡る、哀愁のバラード⑧やタメを効かせて盛り上がる⑩といった名曲からは、そうした弱点を帳消しにして余りある魅力と輝きを感じ取ることが出来るのではないでしょうか。
TOBRUK、SHY、STRATUS等々、英国の抒情派HRバンドを愛する向きにお薦めな1枚。

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