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Heaven Forbid / BLUE OYSTER CULT
火薬バカ一代 ★★ (2008-04-13 03:20:00)
傑作『IMAGINOS』を作り上げながらも、その後、再分裂してしまったBLUE OYSTER CULT。後に残ったエリック・ブルーム、
ドナルド・ローザー、アラン・レアニーのオリジナル・メンバー3人が、元RAINBOWのチャック・バーキや
ボビー・ロンディネリらの協力を仰ぎつつ制作、前作から10年ぶりとなる'98年に発表した12thアルバムがこれ。
『IMAGINOS』で炸裂しまくっていた、荘厳さや劇的さはすっかり影を潜め、荒々しい疾走チューン①による幕開けに
思わずギョッとさせられる、BOCの全カタログの中でもトップクラスのへヴィな作風を誇る本作。
個人的には、BOCサウンドの肝である(と勝手に信じていた)アラン・レアニーのドラマティックなKeyプレイ、
中でも流麗なピアノの音色が大幅減となってしまった事が残念でならないのだが、その代わりに、今回は
リフにメロディにとGチームが踏ん張りが光っていて、派手な装飾が取り払われてシンプルな仕上がりとなった分、
元々の楽曲のクオリティの高さをアピールする事に成功している。
そういう意味では、70年代初期の作風に立ち返った作品と言えなくもなく、特に、劇的な曲展開とメランコリックな
メロディの組み合わせが光る②、力強いリズムの上を華麗なコーラス・ハーモニーが舞う③、仄かな哀愁を漂わせたポップな④、
浮遊するエリック・ブルームの歌声が映える、本編随一の哀メロ・ナンバー⑨といった楽曲は、聴き応え十分。
また、ボーナス・トラックとして収録されている、名バラード“IN THEE"のアコースティック(ライブ)バージョンも美味しい。
圧巻の完成度を誇った前作と比べてしまうと、やはり聴き劣り感は否めないものの、単品で評価するならば、
十分、BOCの名の下に発表されるだけのクオリティを備えていると断言できる1枚。

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