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SWEET LICK OF FIRE / KICK
火薬バカ一代 ★★★ (2019-07-22 01:06:04)
現VEGAのフロントマンであるニック・ワークマン(Vo)を擁し、IRON MAIDENのスティーヴ・ハリスが運営するBEAST RECORDSからデビューを飾ったイギリス出身の5人組、KICKが’01年に発表した2ndアルバム。
日本でもかなりレコード会社がプッシュしていたように記憶していますが(そのせいかジャケットに漢字があしらわれている)、残念ながらイマイチ人気は振るわなかったようで、今じゃ彼らのカタログは中古ショップの常連。自分もリリースから結構経ってから格安コーナーで売られていたのを250円で購入しましたよ。
しかし内容はこれが非常に素晴らしい!味気ないアートワークはオルタナティブ・ロックでも演っていそうな感じで、実際、重心を低めに構える音作りやアレンジ等からはそうした要素も感じられなくはないのですが、それにも増して、ブリティッシュHMバンドの面目躍如たる哀メロ・センスが全編に亘って冴えに冴えまくっています。ヘヴィに揺らめく前半から疾走へと転じる緩急の効いた曲展開を有する①⑪、哀愁を纏って駆け抜けていく②、既に確かな実力が備わっているニックの熱唱が哀愁を一層引き立てる⑥、猛烈な泣きを発散する⑨といった、英国の曇天模様を想起させる楽曲が胸を打つ一方、Keyを活かした爽やかな④や、ポップなバラード⑧のようなタイプの楽曲も収録することで、本編は豊かなグラデーションとメリハリを獲得。最後まで聴き手を飽きさせません。
どうにも過小評価されている(というか、バンドの音楽性が正しく伝わっていない)感のある隠れた秀盤。VEGAが楽しめる方ならこちらも是非どうぞ。

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