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707 / 707
火薬バカ一代 ★★★ (2019-09-27 08:59:19)
中心メンバーのケヴィン・ラッセル(G、Vo)により結成され、ボーイング社製ジェット旅客機の名前からバンド名を頂いて707を名乗ったミシガン州デトロイト出身の4人組が、’80年に発表したセルフ・タイトルのデビュー作。日本ではケヴィン・チャルファント(Vo)が在籍していたバンドとして知られていますが、この時点では彼はまだ未加入。アルバムでは弦楽器隊とKey奏者の3人が曲によって交代でVoを担当しています。
パチンコ・パーラーみたいなバンド名ゆえ音楽的イメージが沸き難いものの、本作に託されているのは、全米シングル・チャート50位台にランクインするヒットとなった軽快にロックするOPナンバー①を皮切りに、キャッチーなメロディを洗練された演奏とアレンジで聴かせるAOR/産業ロック。よりHR志向が強まりをみせる次作に対し、リード楽器としてサウンドの鍵を握るKeyの存在感の大きさといい、泣きのGを始めとするインスト・パートの充実っぷりといい、本作からは初期TOTO等に通じるアメリカン・プログレ・ハード風味も仄かに漂う。
こと抒情性に関しては707のカタログ中でも随一であり、時に流麗に、時にしっとりと楽曲を彩るピアノが全面的にフィーチュアされているのが個人的には評価ポイント。特に緩急を飲み込む曲展開がドラマティックな⑧から、ストリングスをフィーチュアした美しくも悲しいバラード⑨へと繋がっていく終盤の流れには辛抱堪らんものがありますよ。
707の代表作といえば'83年発表の『MEGAFORCE』であることに異論はありませんが、個人的に彼らのアルバムで最も贔屓にしているのは間違いなく本作です。

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