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Misspent Youth / SHY
失恋船長 ★★★ (2019-10-04 23:13:04)
初見の印象は良くなかった。煮え切らないメロディのアメリカンバンドみたいな印象しかなく、ほぼ一度聴いたきりでラックの底行きの宿命を背負っていたのだが、90年代の中頃に正統性の強いサウンドに飢えていた時代に再挑戦。耳をかつてよりは大人になっていたので、初見の時とは全然違って聴こえた事を覚えている。
ロイ・トーマス・ベイカーのプロデュースによって情緒のあったメロディアスかつキャッチーな路線とは決別、よりダイナミックなハードサウンドを軸に、湿り過ぎないメロディを押し出しつつも派手目のギターを武器に、新しいイメージで勝負。アメリカン市場に打って出たスタイルは、それまでと区別して聴けば違和感がない。ある意味、器用なバンドだからこそ様になる路線変更とも言え、質の高さはプロデュースの力と相まってメジャー感バリバリのサウンドとなった。
個人的には、それまでのスタイルを捨てたが故に、やり過ぎ感が強すぎでのめり込めない⑤は蛇足だが、かつての幻影を求めるなら、この曲は溜飲を下げるのに一役も二役も買うだろう。叙情的かつ瑞々しいキャッチネスさを孕んだ胸キュンハードポップソングの決定版とも言える⑦が突出した出来を誇っていると感じ、シングルカットされた③よりは、この曲をリーダートラックにして欲しかった。
そして時を経て、今の感性で聴けば結局、全部美味しく頂けるんですけどね。大人になって丸分かりの良さを認識したわ。すまんよ、スティーブ・ハリスにロイ・トーマス・ベイカーさん。

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