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今週のアルバム10選
失恋船長 (2019-10-21 18:51:22)
『思い出の国産メタル100選その⑦』


①ANTHEM『NO SMOKE WITHOUT FIRE』
福田洋也ラスト作。プロデューサーもクリスからトニー・タヴァナーに変更され、さらにロンドン録音された一枚。
アンセム初のシングル曲もあったりと試行錯誤していた。
今作の思い出は作品云々よりもプロデューサーの変更の件である。
アンセムのレコーディングスケジュールにクリスが合わずにトニーになったという噂もあるのだが、当のクリスは、JPの復活作となった『PAINKILLER』のプロデュースを担当。
一躍時の人となる。そして国内のリリースはアンセムと同時期だったといのも皮肉だ。


②SACRIFICE『TEARS』
NWOBHMの流れを組むダークでミステリアスなムードに包まれた剛毅なパワー/スラッシュメタルバンドの3枚目。
少々癖の強いドスを聴かせた咆哮に評価も分かれそうだが、日本人らしいワビサビのある扇情的なソロなど胸を焦がすパートが多い。言い訳無用のヘヴィネスサウンド。この気合の漲りように身震いさせられる。


③SHELLSHOCK『Protest and Resistance 』
直線的なカラーの1stや前衛的なスタイルを繰り出した、今聴いても新鮮な3rdの間に挟まれている為に、イマイチ地味だと言われることもある2枚目のフルアルバム。
個人的には色んな意味で音楽性を拡散させつつもスラッシュという枠組みにはめ込んできた今作も彼らの豊かな音楽性を語る上では外す事の出来ない一枚と愛聴しています。
ツインボーカル体制も新鮮だったし、この摩擦度の高いリフワークはキリキリと切れ込んでいる。
再結成後も守りに入らず攻めの姿勢を崩さないのも彼ららしい。


④OUTRAGE『BLACK CLOUDS』
国内のスラッシュシーンを語る上では外せないバンドの1st。後の作品と比較すれば完成度は劣るがシーンに与えた影響は計り知れない。日本からメタリカへの回答と紹介されたのは有名な話だ。
橋本直樹のパフォーマンスは日本人離れしたものだった。
阿部洋介のギターワークの重厚でメタリックだが叙情味もある。弾け飛ぶヘヴィグルーブを打ち鳴らすリズム隊も超クール。
①②の流れに身震いしますね。③はFlower Travellin' Bandのカヴァー。そして④で昇天しますね。


⑤SABER TIGER『TIMYSTERY』
久保田陽子時代三部作のラスト。彼女の存在がバンドを各段にスケールアップさせていた。
この歌声とメロディセンスがあったから、久保田時代は優れたものになったはずである。
勿論、国内屈指のツインギターコンビ、木下&田中の存在感も同様なのだが、久保田の唄メロは凄かった。
当時、このアルバムの評価は必ずしもファンベースで高いものでなかったと言われている。理由は女性シンガーではダメだ、メタルは男だと言う意見が多かったと聴き、言葉を失いましたね。いまじゃ信じられないどうけど、久保田の登場は早かったと言うことなのだろう。


⑥SABBRABELLS『SABBRABELLS』
国産サタニカルバンドの自主製作盤。超絶レアもので、ダビングしたヘロヘロのテープしかもっていなかったので、2008年にボートラ入りで再発された時は小躍りして喜んだものです。国産メタルシーンに及ぼした影響は計り知れない。個性剥き出しのサウンドは、今なお色褪せません。
おどろおどろしさだけではないツインギターが暴れる疾走ナンバーもカッコよかったなぁ。


⑦X-RAY『摩天~HARD SECTION』
10代でデビューを果たしたスーパーギタリスト湯浅晋。
彼の扇情的なプレイの数々に恋い焦がれましたが、藤本のハイトーンの切れがあり、ここで聴ける英国寄りの叙情派ハードサウンドの絡みは上々だ。
藤本の歌声はJ-POPファンが聴いても嫌味を感じさせないクリアーさがあり、メタル系を以外の人からもウケたと言われる。


⑧VOWWOW『Ⅲ』
世界に名だたるテクニカル集団へと発展したV時代のVOWWOW。日本人離れした人見のパフォーマンスも益々磨きがかかり、海外の有名アクトと比べても遜色はないのが、このバンドの強みだった。新しいギタープレイを捻じ込みつつも、山本の武器は、エモーショナルさに尽きる。ロックなエナジーから情感たっぷりの泣きの世界まで自在に操る天賦の才に脱帽。BからVへ、外野の雑音を封じ込めた比類なき完成度。あらゆる音楽性を飲み込み進化したサウンドにスキなど見当たらない。今もって日本が世界に誇れる歴史的な名盤だ。


⑨SHOW-YA『Outerlimits』
商業ベースの活動が基準な為に、常に中途半端な印象を与えた彼女たち。今作は唄えるハードサウンドと呼べる充実度と方向性が絞れた為に、視聴感は悪くない。
プリンセスプリンセスと共にガールズバンドブームをけん引したのだが、どう見ての質が違うの不思議な気持ちだった。
限界LOVERSと私は嵐のヒットが大きかったのだろう?
どっちが先だったのかな?


⑩LOUDNESS『SOLDIER OF FORTUNE』
二井原実先輩のクビに驚いたが、マイク・ヴェセーラの加入にも驚いた。ホンマもんの外国人の加入である。
話題性もありレーベルも動き日本のTV番組にも登場したラインナップ。高崎は態度が悪かったぞ(笑)。
レコーディングでは好調も生ではイマイチだったマイク。
お金をかけた割にセールス的に国内でも惨敗だった新生ラウドネス。
結局は彼らも日本のバンドという立ち位置だったんだろう。
よくよく考えると日本語ヴァージョンのアルバム出していたもんなぁ。
当時の最高峰のテクニックを詰め込んだ高崎のプレイの数々は今聴いても戦慄である。
ポール・ギルバートは欧州スタイルを捨てMR.BIGへと向かった。皮肉なものを感じる。ヨーロピアン調とアメリカンロックの融合。でもこの音は古臭すぎた。ミックスもしょぼいぞ。
でも渡米後のラウドネスを総括するような内容は傑作としか言いようがない。個人的に愛聴する名盤である。

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