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The Pleasure Principle / TREAT
火薬バカ一代 ★★★ (2019-10-29 01:16:20)
GREAT KING RATを始め、マイケル・シェンカー、ジョン・ノーラムらとの活動を通じて、今じゃシンガーとしての知名度の方が遥かに高くなったリーフ・スンディンをニュー・ドラマーとして迎え入れたTREATが、'86年に発表した2ndアルバム。
「ポストEUROPE」とも「北欧のBON JOVI」とも評され、TREATが最もポップ寄りの音楽性を志向していた時期の作品ゆえ、彼らのカタログ中でも存在感の薄さは1、2を争いますが、なかなかどうして完成度の高さは立派なもの。憂いを孕んだ声質の魅力はそのままに、歌唱力をいや増したVo、相変わらず絶品に練られたソロを組み立ててくれているG等、メンバー各々の技量の向上はもとより、一層ポップ&キャッチーに磨き上げられたメロディと、フィーチュア度の上がった煌びやかなシンセにより全編が彩られたサウンドは、それまでにあった野暮ったさが払拭され、洗練された華やかさを身に纏うようになっています。
哀愁薄めのOPナンバー①で、アルバムの大切な「掴み」にしくじっている感は否めないものの(ただ単体で聴けば悪い曲ではない)、甘く切ない胸キュン・ナンバー②で一気にその失地から回復して以降は、BLUE OYSTER CULTも演っていた④、神聖な雰囲気漂うバラード⑤、もろに初期BON JOVI風の⑥、しっかりロックしている⑦etc…とグッとくる名曲/佳曲の大盤振る舞い。CROWN OF THORNSの――哀メロ愛好家的にはFROM THE FIREの――ジーン・ボヴワーがプロデュースを担当し、HRのエッジとこのバンドらしい哀愁が溶け合う先行シングル曲⑨の期待を裏切らない出来栄えも流石です。
BON JOVIやEUROPEの世界的成功劇の影に隠れてしまったことが惜しまれる1枚。
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