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Hammerschmitt / Hammerschmitt
失恋船長 ★★★ (2019-11-15 20:28:51)
しゃべらないマジシャン、トランプマンが深酒をしてしまい、悪ふざけを極めたようなジャケットが印象的です。ツインギターを擁するドイツ産の正統派HM/HRバンドは1985年にリリースした1st。
オープニングからクラシカルテイストも感じさせるスリリングなインストナンバーで幕開け、その流れを組むように、ドイツ版のシュラプネル系とも言えるガチムチのスピードメタルへと流れるのだが、それだけに留まらずハロウィーンタイプのシュラガーメタルに、バラードへと流れる展開もあり、バラエティ豊かな味付けが施されている。とはいえ、ハイトーン系のシンガーが、やや画一的な歌い回しに終始している場面があり、張り上げた瞬間に皆同じと聴こえるのが残念。歌い手もけして下手ではない、そういう意味では、もう少し聴かせ方に気を配ってくれると、感触も大分違ったと思うのだが、このハイトーンは武器だけに難しい問題だ。
しかし切れ味するどいツインギターの鮮烈なプレイの数々、へヴィメタル愛に溢れた熱を帯びた演奏は、欧州的なクールさと同じくらい熱く燃え盛っている。粗削りな面もあれど、それらを飲みこむ衝動性というのは実に魅力的だ。豪快でありながらも、繊細さも大切にしているのも好印象。メタリックな質感を伴いストレートに押し込むのは基本姿勢だが、楽曲の中に起承転結を設けようと工夫する姿も印象的だ。
今ではデジタル配信盤で楽しめる、貴重な一品。ハロウィーンだけがジャーマンじゃないと、思っているリアルジャーマンメタルマニアに薦めたいマニアックな一枚です。ストレートなメタルサウンドが好きな人にもたまらんでしょうね。もう少し愛想が良ければ良いのに、この武骨さと、切れ味鋭いリードプレイにグッと引き寄せられます。こういう無愛想な鋼鉄サウンドは、日本にも確実に需要があるはずですからね。

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