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Rough Cutt / ROUGH CUTT
火薬バカ一代 ★★★ (2019-11-18 00:06:45)
LAメタルの盛り上がりの一翼を担った重要バンドながら、チャート上位を賑わすような大ヒットには恵まれず、クレイグ・ゴールディやクロード・シュネルといった有力メンバーを所属マネージメントのボスだったロニー&ウェンディ夫妻に次々引き抜かれ、口さがない外野からは「DIOの草刈り場」なんて言われたり、またデビュー作のプロデュースを売れっ子テッド・テンプルマンに依頼する予定だったのが、彼の体が空くのを待つうちにレコーディングがどんどん遅延。その結果ブームの旬の時期に乗り遅れてしまったりと、何かと不運なイメージがつきまとうROUGH CUTT、'85年発表の1stアルバム。
トム・アロムが手掛けた金属質なエッジの備わった音作り、バンドの看板声であり、ジャニス・ジョプリンのカヴァー②も余裕のよっちゃんで歌いこなす等、既に抜群の歌唱力を誇るポール・ショーティノの本格派(=ややクドめの)Vo、それに重厚なOPナンバー①からソロ・パートにクラシックの名曲“山の魔王の宮殿にて”のフレーズを組み込んで来るツインGのアレンジといい、「ラフ」なバンド名とは裏腹に出してるサウンドはカッチリとタイト。寧ろ生真面目な雰囲気すら漂うぐらいで、この辺の胃に重そうな印象が、明るいLAメタルの中ではヒットに結び付き辛かったのか…なんて。
とはいえ、それと作品の質は無関係。特に前述の①②を手始めに、PVも作られたキャッチーな③、ポールの絶唱が胸打つ劇的なバラード④、からの激走ナンバー⑤…と、LPでいうところのA面サイドの隙のない構成にはテンション上がりまくりですよ。(ドラマティックな⑦を擁するB面も勿論素晴らしい)
ポールの知名度だけ独り歩きしている感がありますが、どっこい総合力でも優れたバンドであったことを立派に証明する1枚。

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