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Wants You / ROUGH CUTT
火薬バカ一代 ★★ (2019-11-24 23:40:58)
デビュー作発表後、SUPER ROCK ’85に参戦して日本の地を踏んだROUGH CUTT(その時の模様は同タイトルのビデオでも拝めます)が、今度はAEROSMITHやCHEAP TRICK等との仕事で知られるベテラン、ジャック・ダグラスをプロデューサーに迎えてレコーディングを行い、翌’86年に発表した2ndアルバム。
前作収録“CUT YOUR HEART OUT”を彷彿とさせるスピード・ロック①で景気良く本編の幕は上がりますが、アルバム全体としてはゴキゲンなアートワークと開放的な音作りが示す通りに、メタリックなエッジは一歩後退。より明るく、ポップでバラエティ豊かな楽曲が取り揃えられた本作は、前作が不発に終わってしまったことを踏まえ意識的に「LAメタル」らしさの底上げが図られている印象です。(レーベルからのプレッシャーもあった模様)
それでいて散漫にならず、仕上がりに一本ビシッと筋が通って聴こえるのは、どんな楽曲を歌わせても自分色に染められる実力派シンガーと、何でも器用にこなせるテクニカルなGコンビを擁するバンドの強み。特に爽やかに駆け抜けていくキャッチーな③(正直、地味な⑦よりこっちをシングルにすれば良かったように思えるのですが)と、ポール・ショーティノのソウルフルなハスキー・ボイスを得て、力強く盛り上がっていくスケールの大きなバラード⑤は、このアルバムならではの名曲として強い輝きを放っていますよ。
2枚続けて力作をモノにしながらも、結局商業的には大きな成功は収められず、音楽的方向性の相違を理由にポールがラインナップから離脱したことを切っ掛けにROUGH CUTTはほどなく解散(ポールはQUIET RIOTに加入)。実力はあったのに運には恵まれないバンドでありました。

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