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EDGE OF THE WORLD / WOLF(U.K)
火薬バカ一代 ★★★ (2019-12-19 00:46:24)
日本や北欧等「WOLF」と名の付くHR/HMバンドは世界中にゴマンと存在しますが、こちらは英国出身の5人組。前身のBLACK AXE時代に発表したシングル『HIGHWAY RIDER』(’81年)が好セールスを記録したことでメジャーのCRYSALIS RECORDSの興味を引き契約をゲット。「もっと売れそうな名前に変えろや」との要請に従い、バンド名をWOLFと改めデビュー作のレコーディングに取り掛かるも、結局出来上がったアルバムはレーベルの手のひら返しにより無情にもお蔵入りの憂き目に。本作はMALSELOUM RECORDSから'84年にリリースされることで漸く陽の目をみることとなりました。
バンド名からゴリゴリのHMサウンドを期待してしまいますし、実際、代表曲“RED LIGHT”みたいなアグレッシブな疾走ナンバーも収められているのですが、ウェットなメロディを紡ぐ2本のGといい、歌唱力的には中の下ながら、侘し気な哀愁漂う魅力的な歌メロを拾ってくれるVoといい、どちらかと言えばこのバンドの本質は、時にKeyを交えつつメロウに聴かせるミドル・テンポの楽曲の方に強く表れているように感じられます。
泣きのイントロだけで目を細めてしまうOPナンバー①、デビュー・シングルでもあった②、コーラスはキャッチーだがメロディは憂いを秘めている⑦、UFOの名曲“DOCTOR, DOCTOR”を彷彿とさせるシャッフル・チューン⑧、きびきびとアルバムを締め括る⑩等々…収録曲の充実ぶりは本作が末期NWOBHM屈指の名盤と評されるのも納得です。
既に英国におけるHMブームが下火となっていた’84年ではなく、当初の予定通りのタイミングでリリースされていればもうちょい話題になったのでは…と、惜しまずにはいられない1枚。

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