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Limelight / LIMELIGHT
失恋船長 ★★★ (2020-03-14 21:28:21)
古くは60年代の後半から活動していたと言われる伝説的NWOBHMバンドの1st。今作には2パターンあり、1980年にリリースされたオリジナル盤と、1984年にベルギーの老舗レーベルMausoleum Recordsからタイトルを変え再発されたボートラ追加&曲順変更の『Ashes to Ashes』があります(1990年にテイチクから今作+ラストに名曲ASHES TO ASHES追加盤と94年にMausoleum クラシックの再発あり)

出している音が渋い。いかにも英国らしいシニカルでネジくれたポップセンスとビシャンビシャンに濡れた哀愁のメロディ、けして突き抜けるようなポピュリズムやキャッチネスさなど持ち込まないアーティスティックな感性、70年代のロックシーンを生き抜いてきたベテラン達の経歴に沿うような味わい深い演奏と密度の濃い楽曲は、一括りのジャンルでは表現できない魅力が満載。国は違えど、この泣かせ具合や哀愁美には、初期スコーピオンズにも通ずる陰影を演出するサウンドを披露している。
あそこまでお涙頂戴ではないので、癖は薄めだから今の感性で聴いてもクドさを感じないでしょう。
プログレ的手法と攻撃的な新興ミュージックであるNWOBHMの融合と言えばよいのか、別のバンドのように展開するナンバーもあれば、突破力のある疾走ナンバーもあったりと、独創性もありハマれば強烈な個性となりシーンを席巻する勢いすら感じさせるのだが、ムーブメント自体が短命だったNWOBHMの中にあるバンドあるあるのようなものに巻き込まれ、シングルを単発リリースするのみでシーンから消えてしまった。

1984年にタイトルを変えMausoleumからリスタートしたアイデアは正解だったと思うのだが、結局は次に繋げる事のできなかった彼ら、噂ではドイツレコーディングのお蔵入りアルバムがあるらしいのだが、今作のようなメタルの原点ともいえる、切り立ったアイデア豊富なリフワーク、一寸先の展開を読ませない一筋縄ではいかぬ楽曲構成、そして耳を惹くメロディの美味しさ、もっと認知されるべきバンドだと思いますね。
NWOBHMマニアにだけ愛されているのは勿体ないッス。

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