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Ballistic, Sadistic / ANNIHILATOR
火薬バカ一代 ★★ (2020-04-01 00:54:29)
カナダが誇るベテランHMバンド、ジェフ・ウォーターズ(Vo、G)率いるANNIHILATORが'20年に発表した最新アルバム。
最初に言っておけば今回もジェフのGは最初から最後までキレキレ。自ら「初心に立ち返った」と語り、名盤『NEVER, NEVERLAND』の頃のスタイルを目指したと明言しているだけあって、バラードさえ排した本編は徹底してファスト&テクニカルな仕上がり。もしファンであれば、そうしたサウンドの中を俊敏に動き回り、蝶のように舞い蜂のように刺す「モハメッ度」高めのジェフのハイテンションなGプレイを聴くためだけにでも本作は購入する価値ありですし、逆にANNIHILATORに興味がないというリスナーも、このGプレイには一聴の価値がありまっせ!と強力にお薦め致します。
ただ、収録曲の方向性が初期スタイルに寄せられた分、高低差の激しいメロディをエキセントリックに歌い上げられるシンガーの不在がこれまで以上に気になってしまうのも事実でして。ジェフのフロントマンとしての仕事に不満はなくとも、どこかで聴き覚えのあるフレーズが頻出する歌メロ(例えば本作で一番のお気に入りの楽曲は⑨なのですが、でもこれって“KNIGHT JUMPS QUEEN”の焼き直しじゃね?とか…)等からは、若干マンネリの気配が感じられなくもないという。個人的には、ジェフには今一度個性派シンガーと組んで、バチバチ化学反応の火花を散らして頂きたいと念願する次第ですが、これまでの活動経緯を踏まえれば、全部自分で回せてしまう彼がいちいち専任シンガーを加入させる可能性の低さも理解できるわけで…。ストレスなく活動を継続してくれることが一番とはいえ、ちと複雑な思いに囚われなくもない1枚。
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