この曲を聴け! 

Street Lethal / RACER X
失恋船長 ★★★ (2020-04-30 20:51:55)
我らがシュラプネルから速弾きブームに終止符を打つようなニューギターヒーローが現れた。インタビューなどで公言していたLOUDNEEからの影響もあったりと、日本人のハートを掴んでいた印象が強かったポール・ギルバートが主役のバンド。イントロなどモロにLOUDNESSを想起させるものもあったりと、その強力なプレイの数々で当時のギターキッズをノックアウト。後年、MR.BIGを組んだ時の衝撃は計り知れないが、時代を読み取り成功したのは賢い。

当時、僅か10日程の日数でレコーディングをすましたと言われる今作。それでもポールのギターは十分なほど、勢いとスリルに満ちており、少々似たようなフレーズや先人たちの影響があったとて、そんな些細な問題を吹き飛ばすほどの目の覚めるような鮮烈なプレイで魅了してくれる。それに個人的には、確かにLOUDNESSに共通するような楽曲構成があり(高崎同様、テクニカルかつメロディアスなフレージングと、押せ押せのパワープレイが魅力的なリフの組み合わせは美味しすぎる)、スカッと行きたいときは、今でも手にしたくなる一枚です。とはいえ、ジェフ・マーティンの粗めの歌声は、楽曲を更に画一化することに拍車をかけていたりと、全体的なメリハリに欠けた面があり、ミックスや音質も含め改善点があるなぁと感じさせるのがマイナス。そういう不満はあれど、力技でねじ伏せるのがシュラプネルレーベルのお楽しみ。

どうしても、あのスリルに満ちたソロやスピーディーなフレージングの旨味に、全てを受け入れ許容させるのが魅力です。この音質も込みでシュラプネルなのだと言いたい。それにしてもポールは、このソロを何日間で録音したんだろう。スターってのは最初から、頭一つ抜きんでているんだな。

→同意