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今週のアルバム10選
失恋船長 (2020-05-05 16:23:33)
『麗しの女性メタルその③』

①杉本誘里 - 『DYNAMYTE』
一色ゆかりという名でアイドル活動をしていた彼女が、本格派のロックシンガーへと転向。名前も変えリスタートしたのがコチラ。歌がなまじ上手かったために、ここでのパフォーマンスは上々なのだが、無理目に声を潰して歌わされているものもあり、もう少し慎重にと言いたくなる部分がある。しかし80年代当時を考えると、女性ロッカーをプロデュースする術がなかったと言えるだろう。ある意味、アイドル的な側面というのはあるし、どこか出オチ感のある色物的な要素もあった。
メタルに対する偏見も少なからず影響している。それだけに、本格的な楽曲の彼女の努力が報われていないのが残念だが、今聞いても十分に通用する音楽性を保持している。今やJ-ROCK界の大御所、松本孝弘の野心に満ち溢れたフラッシーなギターが堪能できる貴重なアルバムでもある。

②CURVED AIR 『live』
トラッド・フォーク路線の英国産プログレバンドのライブアルバム。ライブならではの荒々しい臨場感と代表曲が網羅されたベスト的な意味合いもあるライブ盤。その中でもソーニャ・クリスティーナのぶっ飛んだ歌い回しに驚く。スタジオとは違う、とにかく威嚇するような激しいパフォーマンスで魅了。これぞライブだよなぁと言いたい。歌いなおしたら、あのテイク使わんでしょ。70年代のバンドは名実ともに力が備わっているね。バックを固めるメンバーもえげつないぞ。

③橋本ミユキ 『one night angel』
44マグナムのバックアップを受けデビューを果たす。浜田麻里や本城未沙子、早川めぐみ等々の女性メタルアイドル的な売り出し方が乱発している中でのデビューだけに少々、食傷気味でした。
ポップでキャッチーなハードサウンドはカラフルな色彩美を放ち、多様性を網羅。その反面、コアなファンからは、敬遠されるアイドル歌謡路線。中途半端な印象は拭えないが、今となっては、こんなんもありましたとマニアにコッソリと教えたい一品。ポールの歌声が似合いそうなポップロックも多くあり、アレンジもハードな方に舵を切れば、44マグナムとして通用する佳曲もあり。のちに橋本ミユキ嬢は広瀬とTOPAZを結成、ビーイングよろしくなハードなギターとデジタルビートサウンドで再デビューを果たします。

④JURASSIC JADE - 『Gore』
今だ現役の古参スラッシャーによる1stフルアルバム。とにかく刺激的な歌詞が心にグサリと突き刺さる。そのささくれたった音楽性と唯一無二の個性は放つHIZUMIの存在感により、独自性をアピールすることに成功。今作を機に、このバンドの孤高性は高まった。国産スラッシュシーンを支えたマスターピースである。

⑤DeTENTE - 『Recognize No Authority』
女性ヴォーカルを擁するUS産スピードメタルバンドの1st。ヒステリックなシャウトに導かれるは、光沢のある艶めかしいコンクリートスタイルのスピードメタル。欧州的な湿り気のあるエッセンスも加わることで独自性をアピール。ドーン・クロスビーも喚きたてるだけではない唄があり、そこに妙な色気も漂っていたりと個性を表しづらいスタイルの中で異彩を放っている。NUメタル界では有名なプロデューサーとして成功するロス・ロビンソンがギターで参加。

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