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STORMBRINGER / STORMBRINGER
火薬バカ一代 ★★★ (2020-05-09 03:11:28)
DEEP PURPLEの名盤『嵐の使者』から拝借したバンド名、ハモンド・オルガンをフィーチュアした正統派HRサウンド、それにリーダーのアンジー・スキリロ(G)が奏でるクラシカルな風情を湛えたインスト曲に至るまで、スイスにおいて虹紫魂を継承して活動するSTORMBRINGERが、'85年にMAUSOLEUM RECORDSに残した唯一のフル・アルバム(リリース当時の邦題は『メタル・ハリケーン』)。
「哀愁強めの“I SURRENDER”」といった趣きのOPナンバー①がアルバムの幕開け役を担うことからも分かる通り、ガチガチの様式美路線ではなく、適度にポップな要素も取り込んだサウンドはどちらかと言えばジョー・リン・ターナー時代のRAINBOWタイプ。スキリロのGプレイもリッチーのみならずゲイリー・ムーアからの影響が色濃く伺え、本編最後には“パリの散歩道”のカヴァー⑩が収録されていることもその表れかと。若干アレンジが加えられているけど、やっぱ名曲だなぁ…って、え?カヴァーじゃないの?(白々しい)
それはともかく。抜群に歌は上手くはなくとも、声質自体がグッとくる哀愁を帯びているデヴィッド・バーネット(Vo)の歌唱も本編への没入度を促進してくれていて、ほんのりALCATRAZZ風味の疾走ナンバー②、思わず虹を掴みたくなる泣きのバラード⑤、アルバム後半を熱く盛り上げる⑨等は、Voの熱唱と、パッション迸るGプレイの相乗効果に心揺さぶられるアルバムのハイライト的逸品。
バンドは本作のみを残して惜しくも解散してしまいましたが、スキリロが後に結成したZEROや、’93年発表のソロ・アルバムもなかなかの出来栄えなので、そちらもお薦めですよ。

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