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One Foot in Hell / CIRITH UNGOL
失恋船長 ★★ (2020-05-16 14:51:54)
前作同様ブランアン・スライゲルの助力を受けリリースした3枚目。ENIGMAとの契約もあったのか、METAL BLADEと両方から同時期に出ているのがややこしいが、3枚目という事もあり勝負を賭けた一枚。それだけに前作よりも更に洗練度もアップ、楽曲にメタリックな要素や勢いも増し聴きやすさが倍増と、これでも相当メジャー感が上がっているのが恐ろしい。
70年代初期から活動していた筋金入りのバンド。最初はエピカルなスタイルではなかったと言われているが、NWOBHMの台頭に対する米国の答えとも言われる、サウンドを披露してきたが、初期の頃に感じさせた魔術的な響き、あの胡散臭さを引き換えに手に入れたのは、より広い意味で語られるメタルサウンド。それでもエッジのないフニャチンスタイルは健在、四畳半一間で繰り広げられた一代メタルファンタジーからの脱却とはいかず、このバンド特有の薄っぺらいサウンドメイクを引っ提げているのが面白い。
ギターの質感とってもメタリックにビルドアップされているし、順当な成長は多くのマニアにとっては称賛に値するのに、一部のマニアから不満の声が上がった言うのだから、恐るべしカルトバンドである。新しい個性とサウンドを手に入れた元祖US産エピックHM/HRバンドの出世作。どんなに現代的な要素を盛り込まれようとも、それらを無意識のうちに拒む姿勢に、このバンドの美学を感じます。こうして時系列で改めて聴くと、折衷したんだよなぁである。

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