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2020 / VANDENBERG
失恋船長 ★★★ (2020-05-25 12:36:40)
ついにヴァンデンバーグ名義で復活を果たした稀代の名ギタリスト、エイドリアン・ヴァンデンヴァーグ。WHITESNAKEでの活動のイメージが強く、のっぽのブルースオジサンにされてしまっているが、彼本来は、そんな地味なギタリストではない。
もう味がしなくなっているのにWHITESNAKE時代に噛り付き、地味な作風を連発したMOONKINGS時代の失敗を払拭するが如く、今作では果敢にエネルギッシュなハードサウンドに挑んでいる。
今やB’zのメンバーとしても知られるブライアン・テッシーと、ルディ・サーゾの元WHITESNAKE組に、今や引っ張りだこのロニー・ロメロの布陣。正直、押しの強いロニーが歌うのであれば、繊細なサウンドが期待できないと踏んでいたが、その反面、彼の胸板の熱そうな、胸毛ボーボーの熱いエモーション迸る歌声を中心としたハードサウンドを披露、少々盛り過ぎな面はあるのだが、今の若い人にとっては、これくらいゴージャスに着飾ってもらわないと困るだろう。
往年の泣かせは少ないが、それでも古典ロックに根差した快活なサウンドは等身大の魅力。その中に欧州風味の強いメロディも持ち込み、ヴァンデンヴァーグというバンド特有のムードを醸し出している。泣かせとキャッチーなメロディも盛り込んだLET IT INなど、かつてのスタイルを求めていたマニアの留飲を下げさせろう。叙情的なナンバーも求めるファンにとっては、おもてたんと違うとなるのかもしれないが、ロニーがいることで、様式美タッチのフレーズも放り込んだりと次の作風を期待したくなる一品に仕上がってはいるが、伝家の宝刀を抜く可能性は高い。

ハードバッキングとの対比のように、抒情的なフレーズを紡ぐソロが出てきたときの色艶の煌めきに、ヴァンデンヴァーグの魅力を感じます。ほぼ4分前後のシンプルな楽曲の中に注ぎ込まれたスリリングなプレイ、リラックスしたムードもあるが、一瞬の輝きに往年の姿を垣間見ました。彼は昔からブルースギタリストではない。
次はもうちょい泣き&ホワイトスネイク少なめでお願いします。復帰第一弾なので大目にしてますけどね、モロにカヴァーディルである。だからロニーを選んだのかも知れないなぁ。

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