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Kick Out the Jams / MC5
失恋船長 ★★★ (2020-06-06 20:10:06)
近年はレッチリやレイジアゲインストマシーンらのおかげで若い人たちにも知られ神格化された元祖ガレージロックであり、パンクスやメタルを志す者にも影響を与えたデトロイトのロックバンド。だからMC5なんだね。
デビュー作がライブ盤というのもぶっ飛んだ話なのだが、このバンドの魅力はライブにあるという事のなのだろう。確かに攻撃的で生々しいサウンドがスピーカーを食い破らんとしている、それ以上に耳を惹くのがバンドの骨格となるロックに対する忠誠心の高さ、基本がしっかりしているから、挑発する喧嘩腰のハードビートも様になっており、ビシッと決まっている。歌い手も、想像以上にファンキーなノリを持っており、ライブならではのアジる場面もあったりするが、それ以上にしっかりと演奏に向き合っているのが印象的だった。
なにやらきな臭い空気、暴発寸前の火薬臭が充満しているようなヒリつくライブ盤ではあるのだが、聴きようによっては、高い演奏力に支えられたソリッドなハードビートが炸裂する、手に汗握るライブ盤の側面も強く、リスナーオンリーではなくプレイヤーも十分に楽しませる技術が存在する。
なんでも当時、社会的なメッセージ性を持ちバンド活動を行い。いろいろな都市伝説があるらしい、FBIにマークされているとかマネージャーが、えげつない差別主義団体に属しているとか、そういう中で活動していたせいもあるのか、メンバーが逮捕されたり、ラジバンダリでバンドは1972年に解散。ルックスも良くないので、当然外国人アイドル雑誌に紹介されることもなく、筋金入りのロックファンにしか愛されていないのは残念ですが、正直、英語はチンプンカンプンのワタクシには、どうでも良いことなので、ロック黎明期と言える時代ならではのイマジネーション豊かな、ジャンル不問のハードサウンドのもつ凄みに酔いしれますね。
ロックの持つ普遍性。この音楽はどこで生まれ源流は何なのかを垣間見る事が出来る傑作。資料的な価値も含め名盤と呼ばれるのに疑問の余地はありませんよ。

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