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Doomsday for the Deceiver / FLOTSAM AND JETSAM
失恋船長 ★★★ (2020-06-07 20:58:48)
メタリカのベースが以前いたとことにより再脚光を浴びたアルバム。リリース時は権威ある商業誌から78点を献上。微妙な評価と音楽性に詳しく触れられていない為に、話題に上ることはなかったと言われる。残念極まりない話である。

アメリカン特有の光沢のある艶めかしいパワフルサウンド。そこに塗されるバイオレントな空気とダークな質感が鉄壁のリフとリズムを従え猛進、良く練り上げられた楽曲構成は勢いで押し切ることなくグイグイと次の展開に引き込んでいく。
デビュー作でこれだけ歌えたら十分だろうなエリックAKの柔軟さも兼ね備えたパワフルヴォイス、彼の歌声を軸にしたと思えるような構成もズバリとハマり、このバンドの特異性をアピール出来ている。
阿吽の呼吸と言っても良い、リフワークやリードプレイにも聞かせる要素が大きくあり、エドワード・カールソンとマイケル・ギルバートによる、歯切れのよいツインリードはテクニカルな面も存分にサポート、スピードピッキングを交えながらのソロなど、スリリング極まりないプレイで魅了。拘りのアレンジと構築、その高い演奏力に支えられた楽曲群に不安定な要素など皆無。ケリー・デヴィッド・スミスのソリッドかつパワフルなドラムと、うねりを上げるテクニカルなラインをキメまくるベースの存在感、メンバー感のパワーバランスも俺が主役だと言わんばかりに互いを意識し合いながら拮抗、このメンバーでしかだせないグルーブが存在している。

個人的には、彼らのカタログの中で一番良く聴くアルバムです。とにかくバランスが良い。楽曲もアメリカの裏街道メタルにありがちな、無頼漢だけではない聴かせる部分も多分にあり、それが複雑な構成だけに留まらない、メロディラインや、やはり歌い手の器用さによるところも大きいだろう。過小評価されているシンガーだし、ツインギターコンビだが、媚びを売らない本気のアメリカンメタルに興味のある方は是非とも手に取って欲しい一品。そしてこの音こそ、Metal Blade的とも言えるだろう。

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