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In Your Multitude / CONCEPTION
火薬バカ一代 ★★★ (2020-06-19 00:50:44)
CONCEPTIONが再結成作をリリースしたのをきっかけに、まだ感想を書いていなかった’95年発表のこの3rdアルバムを引っ張り出して聴き直している今日この頃。
所属がビクター、プロデューサーはトミー・ニュートン、解説をキャプテン和田が寄稿という、数え役満でメロパワ・メタルの一群に括っていたCONCEPTIONが、直線的な疾走感は控えめに、技巧を凝らしたグルーヴや複雑に編まれた曲展開といった、プログレ・メタルのエレメントをより強調したサウンドへと軌道修正を図る端緒となった1枚で、全体を覆うドヨンと薄暗い空気感、ブン回すように刻まれるヘヴィ・リフ等は、明らかに90年代の流行りからの影響が感じられます。正直彼らのカタログにおける存在感は薄めであまり聴き返す頻度は高くなかったのですが、ロイ・S・カーン(Vo)とトゥーレ・オストビー(G)の歩みを俯瞰で見ると、現在に至るまで2人が追求していくこととなる音楽性の原点は本作にあったことが確認できるという。(メロパワ方向に振った初期2作は寧ろ例外で)
最初に「存在感薄め」とか書いてしまいましたが、暗い情念を宿したバラード⑤、トゥーレ必殺のスパニッシュ・タッチのGソロが炸裂する⑥、テクニカル且つドラマティックに繰り広げられる⑦等々…神性を帯びたロイのしなやかな歌唱とトゥーレの流麗なGプレイを軸に展開される楽曲は、改めて聞き直すまでもなく凡百のバンドを大きく突き放す魅力と個性を誇っています。中にはザクザクと刻まれるGリフが疾走する⑪みたいなパワー・メタリックな楽曲が未だあったりするのも、過渡期の作品ならではの楽しさではないかと。
中古盤屋500円コーナーの常連作なので、見かけたら押さえておいて損はないですよ。
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