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Sabbath Bloody Sabbath / BLACK SABBATH
失恋船長 ★★★ (2020-06-19 14:42:02)
個人的にはサバスのカタログの中で最も聴き返す頻度の高いアルバム。それまでのブルースロックから派生したハードロックサウンドの源流たるサバスティカルサウンドに、鍵盤楽器を巧みに盛り込み音楽性に広がりと可能性をもたらしている。
また、初期の頃の悪魔的と表現されるようなギミック気味の曲も抑え、色の付きすぎたキャラクターからの脱曲も目指しているようで面白いのだが、アルバムタイトルが悪魔的なのが、いろんな意味で面白い。
④ではリック・ウェイクマンがゲスト参加、派手目のソロまでぶち込み、オジーと手を切った時代にも通ずるスタイルを示しており、プログレ的なアプローチが実験的な要素で終わっていないのが凄い。
⑤みたいな曲を聴くと、前作がアメリカンマーケットで想像とは違う形になったことに対する、新たなる表現方法として、より突っ込んでいる印象を受けたりと、売れる事での意識もヒシヒシと感じるも聴きどころ。

やはり①のような曲にこそアイオミ節を感じるのだが、朗らかで軽い声のオジーには⑤のような曲が似合う。
後年、ロニーと組んで造り上げた音楽性との類似点も、この時点で発見出来たりと聴き返すたびに新しい発見があったりすのだが、同時にオジーの声では、拡散する音楽性を受け止められないという、限界をチラつかせたのも印象的。

若い人から、サバスは悪魔的みたいなことを言われたことがあるのだが、それは1stの一発目みたいな曲もあるということ、ギーザーが魔術的な歌詞を書いたとか、初期頃はロウソク一本たててうしろの百太郎呼び出したとか、逸話が先行しているだけで、音楽性は全般的に、ジャムセッションを中心に曲作りを行うガチのバンドだったというのを教えてあげたい。ジャズ・ブルースロックからの派生形、そこにバーミンガムロック等と形容される後ろ暗さが交わったのが、悪魔的な背景にあると言いたい。
ワタクシもメタルに触れた当初、良くサバスは悪魔だ魔術だ等と、言われたが、全然理解できなかった。むしろ、情報を頭に入れ、こういう音を悪魔とか魔術と言うんだと言い聞かせて聴いたくらいだ。そんな偏見を持たずにフラットな感性で聴ける若い人には、妙な壁を作って欲しくない。
普通にカッコいい70年代のロックバンドであるという事が理解できる。このアルバムは、複雑な構成にも果敢に取り組み、自分たちの可能性を広げた意欲に溢れる名盤。

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