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A Burnt Offering for the Bone Idol / SKYCLAD
失恋船長 ★★★ (2020-07-10 13:45:41)
元祖フォークメタルバンドとして世界的に有名なグループの2枚目。国内盤はちょいと遅れてビクターからリリースされましたね。前作にほんのりとぶっこんだフォーク/トラッド色を大増量、まだまだ手探りの実験的な部分は多いが、従来のヘヴィメタルサウンドに新しい要素をふんだんに盛り込み、オリジナルティを上げてきた。NWOBHMファイターとして知られるスティーブ・ラムゼイも楽曲構成のみならず、ギタリストとしても大活躍、彼のイマジネーション豊かな才能を遺憾なく発揮、ヘヴィメタルというジャンルに新たなる可能性と、革新的な音楽性を持ち込んだ。
今では誰も信じないでしょうが、こういうメロディの強い音楽に吐き捨てタイプの歌が乗るというのは、もったいないオバケが出るぞと大批判を喰らったわけです。曲はいいのに唄がダメとね。
後年イエテボリスタイルと呼ばれるメロデスブームの時の手の平返しには、こちらも背骨が折れるぐらい仰け反りました。そういった不当な扱いを受けた元祖フォーク/トラッドメタルバンドですが、日本ではイマイチだし、アメリカでもウケんかったが、ヨーロッパを中心としたアングラ界では、熱狂的な支持者を集め、多くのフォロワーを生むのは周知の事実なのですが、悲しいかな、90年代のメディアの評価は恐ろしいほど信者に影響を及ぼし、彼らが本来受けるべく敬意を払われていないのが残念です。
ここで繰り広げられる音に触れて欲しい。王道を行く正統派スタイルと濃密に絡むフォーク/トラッドサウンド。吐き捨てヴォーカルと扇情的な泣かせのメロディとの抱き合わせサウンドの精度の高さ、その密度の高い知性溢れる音楽性に、2000年以降から脈々と続く、ジャンルの礎になった音楽がここにあると知るでしょうね。
正直、フォークメタルもゴシック系も、メロデスも門外漢なので、詳しく類似性を指摘できないが、そんなワタクシでも、このアルバムから本格的に始まる、スカイクラッドの示した音楽性が、どれほど影響を及ぼしているのか知っているつもりです。
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