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今週のアルバム10選
失恋船長 (2020-07-13 12:53:01)
『麗しの女性メタルその⑦』

①5X - 『Human Target』
日本の女性ロッカーの草分け的存在のカルメン・マキを前面に出した国産ハードロックバンドのデビュー作。
心地よいハードグルーブを叩き出す堅実なリズムプレイ、ジョージ吾妻のワイルドなギター、そして唯一無二の個性を発揮する彼女の存在感。
加速するシーンの中で確固たる信念と的確なプレイで魅了した実力派バンドだった。
次のライブ盤も強烈やったなぁ

②HELLION 『Screams In The Night』
個人的には悲運の女性シンガーだと思う実力派ヴォーカリスト、アン・ボレインがメインを張るバンドの1987年リリースのフルアルバム。
女ロニー・ジェイムス・ディオなどと形容された、そのパワフルなハスキーヴォイスはメタルサウンドと真っ向から対峙。
性別から生まれるハンデなどものともしない力強い歌声で存在感を発揮していた。
80年代のメタルシーンにおいて、女性がバンドにいるということは少なからず色物的な目で見られた時代。
これほどの実力をもってしても、その偏見を突き破ることが出来なかったというのが虚しい。
ギターのチャット・トンプソンもここぞという場面で派手なソロもぶち込み、存在感を発揮。上手い歌の横に眩い光を放つギターがいるという図式も時代を捉えていたと思う。
真摯に取り組んだ音楽活動。ここに浮ついた売れ線志向など入る余地はない。
暗黒系様式美サウンド、ディオ系の英国風味のあるHM/HRスタイルが好きな方ならハマるでしょう。



③SARAYA 『SARAYA』
紅一点のシンガー、サンディ・サラヤの存在を前面に出したアメリカのバンド。時代は1989年、こういうラインナップにありがちな、妙な色気を音に乗せない本格派のハードサウンドは説得力十分。ヒット狙いの能天気なナンバーも見当たらず、地に足が付いた方向性だなぁと感心、アメリカングルーブ主体と思いきや、⑦では紫色の血が騒ぐ虹色ロックを披露したりと、多様性も十分に感じさせる。DANGER DANGERのトニー・ブルーノが絡んでいるのも安心材料ですね。

④CHASTAIN『In an Outrage』
リバイアサンレコードの総帥デヴィッドTチャステインが2004年にリリースしたフルアルバム。シンガーのケイト・フレンチのパワフルヴォイスも板につき、レザー・レオーネの後任という重責を見事に果たしている。往年の光沢なまめかしい重金属サウンドとは感触は違えど、原点回帰と思えるパワフルサウンドとメロディの復権にファンは大きく安堵した。
女性シンガーをフロントに置き、ゴリゴリのメタルをやった先駆者とも言える、我らがチャステイン総帥。コンピ作じゃなくて、オリジナルアルバムを作って欲しいねぇ。

⑤TERRA ROSA 『火の中に影』
バンド初のシングル。アルバム未発表曲を2曲も追加と美味しい仕様。新ギタリスト今井をフィーチャーしたインストナンバーも収録して新体制をアピールしている。今作リリース後、バンドはほどなくして解散。メンバーチェンジの多いバンドとしてのイメージが強く、最後まで万全の体制で活動していなかったイメージが強かった。90年代を迎え、シーンの移り変わり、日本経済の停滞など、レコード会社も方向転換を迫られて時代だけに、様式美系では、先はなかったろう。個人的には耳を惹くリフ、そして赤尾和重のメロセンスに脱帽した表題曲『火の中に影』は名曲中の名曲として愛して止みません。

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