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Nevertheless / BRETT WALKER
火薬バカ一代 ★★★ (2020-07-23 02:10:25)
80年代から数々のアーティストとコラボして腕を磨いたアメリカ人シンガー/ソングライター、ブレット・ウォーカー。本作はALIASに提供したバラード“WAITING FOR LOVE”がTOP10ヒットとなったことで業界内において各段に知名度を高めた彼が、作曲のみならず、自ら歌い、殆どの楽器もプレイするマルチ・アーティストぶりを発揮して、’94年にスウェーデンのEMPIRE RECORDS(日本ではゼロ・コーポレーション)から発表した1stソロ・アルバムです。ちなみに北欧圏では結構なヒットを記録したのだとか。
本作で聴くことが出来るのは、キャッチーなメロディと美しいハーモニーを纏って弾む大陸産ハードポップ・サウンド。爽やかさと暖かみを増幅するアコースティック・ギターが有効活用された収録曲は、ジム・ピートリック、ジョナサン・ケイン、カール・ディクソン(CONEY HATCH)といった手練れのソングライター勢が共作者として名を連ねていることがその完成度の高さを担保する通り、乾いた哀愁が心地良い①、嫁さんに捧げられているお惚気ナンバー②、シングル・カットされなかったのが不思議なぐらいフック満載の⑪等々…と、聴くほどに味わい深さを増していく名曲・秀曲が揃っています。
何より驚かされるのはブレットのシンガーとしての実力で、例えば彼の熱唱が楽曲が醸し出す切ないフィールに拍車を掛ける⑥なんかを聴くと、シンガー一本でも十分食っていけるんじゃねえかと思わずにはいられませんよ。
ソロ作の日本盤がこれしかリリースされていない(しかも廃盤)ことと、そして'13年にもたらされた早過ぎる急逝の報がつくづく惜しまれます。

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