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Born Innocent / ALCATRAZZ
失恋船長 ★★ (2020-08-02 01:27:04)
ジョー・リン・ターナーとツアーしたりと、アルカトラス名義での活動はあったが、ついに最新作をリリースしてきた。正直、グラハムボネットグループがあるので、アルカトラス再始動に驚きはないのだが、やはり今作の目玉は豪華ゲストの客演&楽曲提供だろう。
クリス・インペリテリにスティーブ・ヴァイ、ダリオ・モロ、ボブ・キューリックといった同じ飯の釜を喰った仲間に、若井望、ドン・ヴァン・スタヴァン、ジェフ・ウォーターズの名前もあったりと、バンドの再始動に華を添えている。
そのメンツのおかげでバンドサウンドはバラエティ豊かなものになってはいるが、果たして再始動アルカトラスとして見ると、これで良かったのかという疑問は湧き出てくる。それも、多くのファンがインギー時代の再来を匂わせた事により過度の期待をしてしまったからなのだが、個人的にも一番耳に残ったのが先行公開された、ヴァイのペンによる⑥だったりしていたので、ある程度、おもてたんと違うと予想は出来ていた。

速いだけの①でつまずき、②で回復するも、若井の書いたポジティブなメロディアスサウンドは出番的に早いと感じ、ムードのある④、狙い過ぎた⑤と続き、今一つエンジンがかからぬまま、ヴァイの⑥に行く展開は残念な気がしてならない。ボブの曲は毛色が違うし、ダリオのムーディーな古典メタルも悪くないが、流れが悪いアルバムのせいで損している。ジェフ・ウォーターズがリードギターで客演する、ジミー・ウォルドーの⑨は今までにない斬新さがあって耳を惹くが、やはり流れの悪さのせいで損している。もっとストレートな曲の合間に聴きたかったというのが個人的な思いだ。

曲単位で行けば不満の少ないのだが、昔の名前を担ぎ出しただけに、もっとやりようはあったと思う。参加メンバーの話題性や、復活の予感を感じさせるラインナップ、そういうものに期待をし過ぎたのかもしれないが。もっとベタなものを聴きたかった。そういう曲が合い間に2曲くらいあれば、スムーズに進む気がするのだが、やはり、この手の音楽が好きではないグラハムボネットにとっては、周り次第という事なのだろう。

これで国内盤はボートラ2曲追加の15曲入りだというのだから、ちょっと本気でいかないとヤバいでしょうね。

総じて感触は悪くない。ラストにブラス大活躍の曲まで用意したバラエティに富んだ一枚。多くのグラハムファンの慮った、全時代対応の音楽性に落ち着いたと言える一枚。なにはともあれ、グラハムが真っ当なハードサウンドを歌うというだけで、ファンは満足出来るでしょうね。
個人的には、やはり残り少ない現役生活の中で決定打になるようなアルバムを作って欲しい。マジでもう一度、柴田直人とアルバムを作りべきであろう。そう思わずにはいられないモヤモヤの残るアルバムとなった。

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