この曲を聴け! 

Fires at Midnight / BLACKMORE'S NIGHT
ギターの国から2002.遺言 ★★ (2004-07-26 04:04:00)
3年前僕は念願叶ってヨーロッパ無銭旅行に出かけました。出来るだけ飯代や宿泊費を削り、一定の期間で可能な限り沢山の街を周るという、今から考えてみれば辛いこともあったけれど夢のような旅でした。
8月2日、その日僕はドイツはハンブルグ(ジャーマン・メタル発祥の地ですね)に到着しました。8月だというのにまだハンブルグは日中でも肌寒かったのを覚えています。
街を彷徨いながら夕方やっとユースホステルに到着し、宿泊手続きを済ませてふっとチラシが沢山張ってある掲示板のある方向を見たんですが、おやっ、と思いました。「ん?確かBLAKMORE'S NIGHTって見えたような・・・」
見間違いではありませんでした。ドイツ語で『BLACKMORE'S NIGHTライヴ 8月2日 ハンブルグ Curio Hausにて』・・という一枚の紙が。「今夜じゃねえかよ!?」
まぁ普通の人だったら見たくても諦めるかもしれません。全く右も左も分からない街に来て、どこにあるかも分からない会場で、しかもチケットが残っている可能性も薄いですから。でもこの時僕はどうしても行ってみたくなりました。なぜならその数日間持って行ったポータブルCDでずーっとこのアルバムを聴いていたんです!!!。ドイツの雰囲気にぴったりなアルバムだなぁと思いながら旅をしていて、何たる偶然か!そこで本物が今夜ライヴをやるなんて!!!。全くそれを知らなかった僕は何か運命的なものを感じずにはいられませんでした。
そして何とか場所を聞き出し、地下鉄で最寄の駅へ直行!!!、下車とともにダッシュで会場へ到着。会場の前には既に沢山のファンの姿が見えました。中世風のコスプレ?をした人もちらほら。でも何かおかしい。そのライヴ会場というのがどう見ても普通の「家」なのだ。家といってもそれなりの大きさがあって庭も付いている様子。誰かお偉いさんの別荘のような建物でした。
あっ、そんなことよりチケット探さなきゃ!。早速関係者らしき人を発見。思い切ってチケットがまだあるか尋ねてみました。見るからにやさしそうで英国訛りバリバリのそのおじさんは「もう一般向けは完売したし当日券も出ない。」とのこと。希望の糸がプツッ、と切れるのを感じました。
しかし僕が残念そうにしているのに同情してくれたのでしょうか、そのおじさんは「君は日本から来たのかい?。そうか、ちょっと待ってろ。係のみんなに当たってみるから。」と言って会場の中へ消えていきました・・・。
しばらくして彼は一枚のチケットを持って僕の前に帰ってきました。曰く、「関係者のある女の人が予備のチケットを持っていたよ。」
歓喜の一瞬でした。60.50ドイツマルク。ほんとにありがとう、おっちゃん!!!。
ライブ会場内部はまるでお金持ちの屋敷みたいで、絨毯が敷かれ、長い曲がりくねった階段を登ったところにステージ付きの広間がありました。壁には様々な色のなタペストリー、部屋の隅には甲冑、そして沢山の蝋燭が灯されてとても幻想的でした。
まもなく前座のバンド(ドイツ語の名前だったから覚えられなかったよ~)が出てきて演奏した後、遂に神が目の前に姿を現しました。キャンディス綺麗~!!!御大も渋い!!!。
3時間半の長いライヴでした。素晴らしい演奏でした。正に神光りとはこのことだと思いました。
そんな出来事があって以来このアルバムを聴くとその時の事が思い出されてなんだか切なく、また嬉しくなります。こんな素晴らしいライヴを体験させてくれた彼らに心から感謝します。それ以来旅には必ず好きな音楽を入れたCDプレイヤーを持っていこうと決意しました。なぜならその時聴いていた曲の一つ一つに思い出を重ねることが出来るからです。
写真や日記での「記録」の思い出も良いけれど、音楽や本や人や、そういう「記憶」の思い出の方がず~っと心に残ることが出来ると思います。
このアルバムはそんな大切なことに気づかせてくれた宝物のようなアルバムです。
楽曲的には「Written In The Stars」や「Fires At Midnight」などの王道路線ももちろん好きですが、妙に田舎臭い「Home Again」や新境地を開拓したと思われる「All Because Of You」のポップセンス、そしてしとしとと降り積もる雪を思わせるプロヴァンス語で歌われた「Mid Winter's Night」などが好きです。特に「All Because Of You」は本当にリッチーが作曲したのって思うぐらい、ポップでライトな感覚に溢れ、もろに大衆向けのヒットを狙った感があるのは驚きです。ライヴでも皆手拍子でとっても盛り上がりました!!!。この曲はいいよ~!!!。
その他にもいい曲がいっぱい詰まっています。捨て曲なんてないよ~。
しかし日本盤のジャケは何とかならなかったのか?。外盤のはめっちゃカッコいいのに・・・。
(因みにその翌日8月3日と4日はヴァッケン・オープン・エアーへ乗り込みました。前日と音楽が180度ちゃうやんけ!!。でもこっちも思いっきりEnjoyしました)

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