この曲を聴け!
Eruption / Van Halen / VAN HALEN
Tamasa ★★★ (2020-08-15 17:02:47)
テッド・テンプルマンがエディの練習曲を聴いてひっくり返って収録することにした小曲。
2曲目に突っ込んだ辺りからも気合が伝わって来る。そして世界もひっくり返った。
あれから40年。この神業が、初心者ギタリストの練習曲になる時代になるとは誰も想像していなかっただろう。実はこの曲、後半のライトハンドよりも前半の方がはるかに難しい。今となってはライトハンド(タッピング)の練習としてERUPTIONのフレーズは最もベーシックなものだし、ピックでギターを弾けない初心者がいきなりこっちから練習しても意外とすぐにイケてしまうものだったりするのだ。
JET TO JETの有名な高速3連フレーズ。イングヴェイのピッキングをコピーするのはとんでもなく大変だが、同じフレーズをタッピングで弾くのは超簡単。ライブでやろうものなら、初来日時のスティーブ・ヴァイの様に、ごまかし呼ばわりされてしまう。開放を絡めないERUPTIONの3連フレーズは、今ではチョーキングと並ぶような基本技術の一つに過ぎないのだ。
80年代のメタルブームは、一方でギター奏法のオリンピック的側面があった。それもここから始まった。
ERUPTIONでライトハンドが生まれ、右手、左手の指がどんどん増え、左手が指板の上から出てピアノ化し、音階は超複雑化。果ては左右のダブルネックで弾く者まで出る始末。(ライトあんよなんてお笑いもありました。)
一方でイングェイがハーモニックマイナーの速弾きにブロークンコード(スイープ)を用いたところから、スピード競争、指板駆け巡り競争も行く所まで行きついた。
東京オリンピックでの体操最高難度はウルトラC。現在の最高難度は上がるに上がってJ。しかし相対的に難易度が下がったからと言って、当時の金メダルの価値が下がる訳ではない。0から1を産むのは1から3を生み出す事の何百倍も評価されることなのだ。
そして音楽は、技術が進化すれば音楽的に進化するというものではない。
当時の衝撃もさることながら、未だにERUPTIONを超えるカッコ良さのソロはない。エディもイングヴェイも出て来た瞬間に完成していて、いかに模倣されようとも誰にも超えられることはなかった。
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