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G-FORCE
Tamasa ★★★ (2020-08-16 22:44:40)
THIN LIZZYで名作「BLACK ROSE」を残し、フィルと喧嘩別れしたゲイリーが、全米進出を目指して組んだ伝説のバンド。マイケルシェンカーのM.S.G.の様なものだが、こちらは組んだレーベルが悪かった。結果、ジェット・レコードの勝手な判断で全米発売が見送られるなどのトラブルが重なり、バンドはアルバム1枚で解散してしまう。レーベルの権利関係で、日本発売も暫くされなかったなどの影響もあった。
ジェット・レコードの影響はその後も続いた。G-Forceの後、コージー・パウエルに誘いを受けていたもののジェットの横やりが入り頓挫。結局コージーはM.S.G.へ。ジェットとの契約をクリアするために仕方なく作った「Live at the Marquee」「Dirty Fingers」の完成度を見ても、この時期のゲイリーはロック・ギタリストとしてピークにあっただけに、活動の足を引っ張られたのは残念この上ない。しかも「Live~~」「Dirty~」共に83年まで放りっぱなしだったのだから酷い話だ。(因みにLive at the Marqueeは羽生結弦で有名になった伝説のライブテイク)
G-Forceは、ある意味ゲイリー・ムーアの音楽の集大成ともいえる。
単なるハードロックではない、幅広い音楽性と実験的試みに満ちている。ファンクが顔を覗かせたり、サックスが入ってきたり、コラシアムⅡの経験、コージーのオーバーザ・トップへの参加、シン・リジイへの参加、ブルースへの傾倒、全てがここに結実している。それは音作りにも及び、アンプを使わずエフェクターから直にコンソールへ入れるライン録りまで試みている。上手くいってはいないが。
それでも散漫な印象はない。通して聴けば極上のハード・ロック アルバムだ。
ジェット・レコードと契約していなければ。
あの時、G-Forceとコージーが合体していれば。
シーンの勢力図が大きく変わっていたかもしれないと思うと残念でならない。
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