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91 Suite / 91 SUITE
火薬バカ一代 ★★★ (2020-09-03 01:06:51)
デビュー前からデモテープが耳聡いマニアの間で話題になっていたというスペイン出身の4人組が、'01年にVINNY RECORDSから発表した1stアルバム。
所属レーベルがスペイン国外での活動に非協力的だったせいで速攻廃盤になってしまった日本盤は結構な高値で取引されており、数年前にCD屋で見かけた際には5,000円オーバーの値が付けられていて魂消た覚えあるのですが(今はどうなんだろ)、ことクオリティに関して言えば、プレミア価格で取引されるのも納得の内容であることは間違いありません。
マイク・マンゴールドとアル・フリッチのDRIVE, SHE SAIDコンビがプロデューサーとして腕を振るう本作で披露されているのは、スペイン産と聞いて想起するような「濃さ」「クドさ」の類は殆ど感じられない、いっそ北欧的とすら言えそうな透明感漂う洗練されたメロディアスHRサウンド(ちなみに歌詞は全て英語)。キリッとエッジを効かせてフレッシュにアルバム開巻を告げるOPナンバー①から、ハスキー声で熱唱するVoをフィーチュアし感動的に本編の幕を引くバラード⑪まで、涼し気な哀感を付与するKeyや、印象的なGのハモりが組み込まれた楽曲はインスト・パートにもきっちり聴かせ所が配されていて――人によってはこれが「長い」と感じられる要因なのかもしれませんが――特にヘスス・ディアズのツボを心得たGプレイはアルバムのハイライトの一つ。仄かな哀愁も孕んでポップ且つ爽やかに躍動する⑩はそうした本作のポテンシャルを凝縮したような名曲ですよ。
バンドは次作(これも力作)を出した後解散した筈だったのですが、どうやら近年再結成を遂げてEPも発表している模様。聴いてみてぇなぁ。

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