この曲を聴け! 

Ordered to Kill / AT WAR
火薬バカ一代 ★★★ (2020-09-22 00:16:25)
ヴァージニア州出身のトリオ・スラッシャーAT WAR、'86年発表の1stアルバム。
「うんこメタル製造工場」だの「ポンコツ・バンド梁山泊」だのと散々な悪評を囲う一方、時折ギラリと個性が光るバンドを世に送り出したりもするので油断がならなかったインディーズNEW RENAISSANCE RECORDS。非常にクセの強い同レーベルのカタログの中にあって、本作は「当たり」に分類されてしかるべき1枚ではないかと。
トリオ編成に加えて、ガンベルトと銃器で武装したメンバーのジャケ写や、戦争をテーマに埃っぽく突っ走る楽曲からも明らかな通り、バンドが聴かせてくれるのはMOTORHEADを更にハードコア化させたようなスラッシュ・メタル(実際、MOTORHEADの名曲“THE HAMMER”のカヴァーも収録)。恐ろしく抜けの悪いプロダクションが、折角の演奏のキレと本来サウンドが醸し出すべきスピード感をスポイルしまくっていますが、このレーベルに音質について文句言っても詮無きこと。そこはグッと過保護な気持ちで楽曲のみに意識を集中して頂くと、レミー~クロノスの系譜に連なる咆哮型Voを伴い、ドカドカと突進するブルドーザー・スラッシュのカッコ良さが徐々に浮かび上がってくるのではないかと。特にテンション高く畳み込む④と、映画『イルザ ナチ女収容所/悪魔の生体実験』へのトリビュート・ソング⑦の迫力はなかなかのもんですよ。
ぶっちゃけ、スラッシュ・メタル・アルバムとしての完成度は次作の方が上なのですが、こちとら何故か不思議と本作ばかりを繰り返し聴いてしまうという、底は浅いが奥は深いNEW RENAISSANCE RECORDSの魅力を体現しているかのような1枚です。

→同意