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Level Headed / SWEET
火薬バカ一代 ★★★ (2020-11-05 00:24:18)
所属レーベルをRCAからポリドールへと替えたSWEETが'78年に発表した、多分6、7枚目ぐらい?のフル・アルバム。英米のチャートにおいてトップ10に食い込む好成績を残したヒット・シングル“愛が命”を収録し、これを最後に中心メンバーのブライアン・コノリーが脱退して不動の4人組の一角が崩れてしまい、以降は大きなヒットに恵まれぬまま解散へと至ったことから、一般的にSWEET全盛期最後の作品とされる1枚です。
彼らのアルバムは飛び飛びでしか所持していないのですが、本作では『荒廃の街角』(’74年)で開眼したHR路線から趣きを変えて、シャラシャラと乾いた音色で奏でられるアコギの使用比率を上げ、アメリカでの更なる成功を見据えたコマーシャル路線へと方向を軌道修正。そのことはカリフォルニアへの憧れが爽やかに歌い上げられるウェスト/コースト風味のOPナンバー“CALOFORNIA NIGHTS”が端的に物語る通り。
但し安易に売れ線に走るのではなく、持ち前のキャッチーなメロディ・センスは存分に活かしつつ、アレンジや曲展開の練り上げに更に注力した結果、本作からはBOSTON、KANSAS、STYXといった同時期にヒット・チャートを賑わせたバンドに通じるプログレ・ハード風味も立ち昇るようになりました。その好例が、クラシカルなチェンバロが効果的なアクセントとなっている名バラード“ふたりの誓い”や、スペーシーにアルバムを締め括る“永遠の詩”~“AIR ON ’A’ TAPE LOOP”のメドレーであり、そして7分近くに及ぶ長尺の中で曲調が次々に表情を変えていくドラマティックな大ヒット・ナンバー“愛が命”であったと。
SWEETは名曲が多い!と今更ながら実感させられた1枚であります。
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