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Trouble / KEN HENSLEY & LIVE FIRE
失恋船長 ★★★ (2020-11-06 18:49:10)
先日、家族に看取られ天に召された稀代のアーティスト、ケン・ヘンズレーがLIVE FIRE名義で2014年にリリースしたソロアルバム。プロデュースを担当するのはケン・ヘンズレー、相棒はヴォーカル兼ベースのロベルト・ティランティ、イタリアのバンドLABYRINTHのシンガーとして知られています。

今回、ケンはどんな歌い手を所望していたのかと思ったら、グレン・ヒューズのようなソウルフルなシンガーだったんですね。参加メンバーもスリムになり、ここで披露するはケンのオルガンがヴィンテージ臭を撒き散らしらしながら、エレガントに舞う古典ロック。そのオーセンティックな作りにファンならずともグッときますが、ここではファンタジーな要素を抑え、とにかくスタンダードな響きで勝負。その為、今の感性でイケば全般的に地味な仕上がりとなるのですが、70年代をガチで過ごした歴戦の兵が、余計な色気を出さずに堅実作業を敢行、英国ロックの伝統を優美に包み込み聴き手を魅了。
レトロなサウンドプロダクションに埋もれがちですが、耳をすませばケンの歴史を総括するような味わいがあり、じっくりとトロ火で煮詰めた英国ロックの旨味成分の強さに唸ります。

URIAH HEEP脱退後の、ケンの活動は日本では過去の人のような扱いになっていました。確かにソロなんだがバンドなんだか分からない活動もあるし、ジョン・ロートンを組んだり、ジョン・ウエットンとジョイントしたり、ややこしい面はあった。作風も脈絡があるのかないのか、そもそも、ケンは何屋さんなのかという欠点がある。
オルガンに専念すれば良いのに、歌ったり、ギター弾いたりと、イングウェイみたいにやりたい放題。そういうのもマイナスに働いたと思っている。ヨーロッパを中心とした活動、特にロシアでは神様のようなアーティストだったケン・ヘンズレー、今現在の日本での認知度を考えるとチョイと残念ですね。

良いメロディと良い音楽、今作は最も大切なものがあります。それだけで十分です。

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