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Dystopia / MEGADETH
失恋船長 ★★★ (2020-11-26 18:06:06)
ライブでは、過去のギタリストのプレイを意識しつつも自分のカラーも上手く出していたクリス・ブロデリック。日本ではいまだにマーティー・フリードマンに対する根強い人気もあり、腕利きのクリスが過小評価されていたように感じる。
しかし、今作でムステインの相棒を務めるのは、あのキコ・ルーレイロである。あの超絶技巧派ギタリストの参加である。これには驚いたが、彼の凄さはHangar18キコヴァージョンとも言える②の登場にグッと掴まれる。新生メガデスが進むべき方向性、それは教養溢れるギターテクニックを駆使したスラッシュサウンドという事なのだろう。
多様性を盛り込んだ前作は何だったんだと首を傾げたくなるような方向転換、丸くはなったが、俺はまだまだキレているんだぞとムステインが誇らしげに大見得を切る。
だったら最初からこういうの作ってよ、前作は何で作ったの?くっつきそうになってはすれ違う、女子高生が好きそうな恋愛ドラマを見せられている気分だよ。
本分とも言うべきアグレッションが無理なく戻っている。昔を意識しているわけではない。むしろ、新しい血の導入が刺激を与え変異を起こしているようだ。無理無駄のないアレンジと有機的な絡み。なんでも唄えるムステインの歌声は、モダンヘヴィメスもポップスも取り込み自らの糧にしていた。新たなるムステイン劇場の始まり。純粋はスラッシュサウンドではないが、今作の完成度は往年の作品と比肩しても遜色のないものだろう。
キコにはマーティーの影を追い求めるファンを納得させるだけのフレージングの上手さがある。あとはムステインとどこまで共存できるかがカギだろう。
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